青山裕企1day全力授業〜写真家になるための最短距離〜

青山裕企さんの「1day全力授業〜写真家になるための最短距離〜」に行ってきた。

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青山さんの講義はこれまでにも何度か聞いていて、実演も見ているのだけれども、この「授業」は文字通り朝から晩までの濃厚なプログラム。

9:00 ガイダンス・講義
10:00-12:00 モデル撮影(2名)
12:00-13:00 昼食(雑談)
13:00-13:30 講義
13:30-14:00 撮影実演
14:00-16:00 モデル撮影(2名)
16:00-17:00 おやつ休憩(質疑応答)
17:00-17:30 講義
17:30-18:30 撮影した写真の講評
18:30-19:00 講義

参加者4名という少数ならではの「距離感」で、ポートレート写真に対する取り組みについて多くの気付きを得ることができるもの。

まさにプライスレス。

講義の構成はこんな感じ。

#1 ポートレート写真がうまくなるために
#2 撮影前のプランの立て方
#3 撮りたいイメージ

午前中の講義で印象に残ったポイント。

  • カメラマンには「撮りたいイメージ」があり、モデルには「撮られたいイメージ・撮られたくないイメージ」がある。
  • ポートレート写真のポイントは、肌の色味・瞳の表現・コンプレックス。
  • 肌の色味を綺麗に見せるにはミックス光を避ける。
  • カラコンでは瞳の表現ができない。
  • コンプレックスは誰にでもある。「ない」と言っていてもある。
  • 撮影前にイメージを固める。そこからモデルを選び、場所、衣装、髪型・メイク、小道具を決める。
  • 撮りたいイメージをモデルと共有。「かわいい」「クール」「セクシー」「素で」。この順で難しくなる。


ここから2名のモデルさんを撮影。一人はスタジオ、もう一人は野外。

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みきさん

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まいさん

一対一で撮影する時間がそれぞれ20分。

別の参加者の撮影を見学する時間が20分(脇撮り可)。

20分の中でバリエーションを作ること、コミュニケーションを取ること(会話と指示の使い分けを含む)、そして何よりも撮影全体の流れを作り出すことの難しさを改めて感じさせられる。



あっという間に午前の部が終わると、青山さんを囲んでのランチタイム。

とりとめのない雑談を重ねて、青山さんとの距離が一気に縮まるように感じられる貴重なひと時。

そして午後の部へ。

講義の続きから。

#4 撮影中のテクニック

一言も聞きもらせないくらいの情報量だけれども、自分の中でポイントと思ったところを抜粋。

  • 何よりも「光」を意識。
  • ロケの「背景」の情報は大事。衣装と合わせた季節感。
  • 「会話」と「指示」の使い分け。指示でイメージ・ポーズを固め、会話で表情を引き出す。
  • 関係性を設定する。「友達みたいな感じ」など。しないと「カメラマンがモデルを撮った」写真になる。
  • モデルの興味を想像。モデルは写真には興味があっても機材には興味がない。プライバシーを聞きださない。語りすぎない。
  • 紳士的であることでモデルの信頼を獲得。信頼があることで、撮りたいイメージの写真が撮れるようになる。
  • 撮影中に休憩することはWin-Win

こんな感じ。

午後は別のモデルさんを午前と同じように個撮。

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かもいさん

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碧衣ひなさん

今日撮った4名は皆初対面だったけれども、撮影のリズムとかイメージの共有というところでは、皆さんスキルが高くて、短時間でもスムーズに撮影ができた。

中でも、碧衣ひなさんを野外で撮った時は、ちょうど陽が傾きかけた時間帯で、逆光でのハレーションを活かしたショットをうまく残せた。

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碧衣ひなさん

感謝。

モデル撮影後は、青山さんを囲んでのおやつタイム。


おやつタイム、と言っても、まずは、今日4人のモデルを撮った写真の中からそれぞれ1枚をセレクトして提出するというタスクをやりながら。

タスクの終わった人を見計らって、青山さんへの質問タイム。


僕が聞いたのは「リリバリの沢村りさちゃんの撮影企画と、「髪は短し、恋せよ乙女」の掲載とはどういう関係ですか?」という我ながらなかなかアレな質問。

青山さんの答えは「こちらから髪を切りましょうと言うことはない」というもの(それはそう)。

提出が終わると、4人の参加者の4枚の写真を青山さんが順に一枚一枚丁寧に講評していくという時間へ。

「自分の撮った写真を講評してもらう」というのは、真剣に写真を撮っている人にはとてもありがたいもので、ここが自分の個性とか、ここを直せばさらに良くなるとか、ここは評価が分かれるかもとか、色々な角度からの評価を聞くことができた。

(講評の内容を踏まえて、このブログ記事では4枚中2枚の写真を選び直した)

「これは坂道の写真ではNG。48ならOKかもしれないけれど」というようなコメントをしてくれるのも、アイドル写真を数多く手がける青山さんならでは。

そして最後の講義パートへ。

#5 写真家になるための最短距離(作風の作り方)
#6 撮影後の写真の調整の仕方
#7 写真家で食べていく方法

今日一番聞きたかったのが「作風の作り方」であり「撮影後の調整」。

  • 作風とは「統一感」。誰でも綺麗な写真が撮れる時代、自分しか撮れないクセがあるか。
  • クセが流行りに乗っていればバズる。が、流行りはみんな模倣して行くので、「第一人者」にならないといけない。
  • 「被写体」と「仕上がり」の組み合わせで個性を出す。
  • 「自意識」か「美意識」か。美意識だけではただ綺麗なだけの写真。写真から自意識が見えるかどうか。
  • イメージ作りなど撮影前・撮影中にしかできないことも多い。が、撮影後の「調整」によって作風が生まれる。
  • パッと見て「XXさんっぽいよね」と言われるような作風。色作り。
  • 全て一枚一枚手で現像している。ムラが出来るのもまた「人間」。
  • フィルターは使わない方が良い(流行りに乗れるが誰でも使えるものは個性を失う)。
  • 最低限求められている写真が撮れれば仕事としては成り立つ。
  • 器用貧乏になることを避け、自分にしか撮れない個性を提案。
  • 写真コンテストに意味がなくなり、SNSでバズる時代も終わりつつある。
  • バズらない時代、バズってもフォロワーが増えない時代。地道に「営業」することが大事。
  • 写真は「奇跡」が起きそうなジャンルに思われる。が、「何かあれば一発で売れる」みたいなことは、ありそうでない。

こんな感じ。


青山さんの講義にも熱が入り、気付いたら優に19時を回っていた。

最後に、今日の講義を網羅したような素敵な冊子「写真家になるための最短距離」を頂いた。

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このブログで紹介したのは、あくまで講義の一部に過ぎない。

時間とお金をかけて得られたものはまさにプライスレスな経験。

機材の買い替えとか、撮影会のリピート以上に、写真が変わると思う。

自分としても、多くの気付きを得たので、これからの撮影に活かせれば、と思う。

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「自分の作風」を確立していこう、との決意を新たにした1日だった。

青山さん、モデルの皆さん、ありがとうございました。