放課後の教室、窓際で一人静かに本を読んでいそうな少女ー
それが、ハコムス3期生の星里奈に対して僕が抱いていたイメージだった。
今日は彼女の卒業公演ということで足を運んで来た。
「真面目そう」
「文学少女」
「ポエマー」
など言われがちな星里奈。
去年3月にオリジナルメンバーの鉄戸美桜が卒業して以降は、「歌姫」としての大きな期待に応えて来た。
そんな星にふさわしく今日の卒業公演は、ハコムス史上最多の18曲の公演となると発表された。
一曲目はメンバーが一人ずつ歌いながら登場する「ストローハットの夏想い」。
白い衣装のハコムスのメンバーの中に、青いロングドレスで優雅に登場する星。
花かんむりは、桜と紫陽花のコンビネーション。
切なさを前面に出したナンバー「眩しくて」の後は自己紹介。
そして、3期のレパートリーとして定着した「ガールズ・オン・ザ・ルーフ」。
アップテンポな「夏休みは終わらない」「海へ行こう」「Let‘s Party Time!」と、まるで真夏のライブのような夏曲攻勢。
だが、MCでは「盛り上がるのはここまでで、ここから先は下がりっぱなしです（笑）」との予告が入る。
ハコムスの卒業公演だと、この辺で笑いのある「企画コーナー」が入るのが定番だが、今日はひたすらに星の歌声を鑑賞するというコンセプト。
ということで、次はユニット曲コーナーへ。
まるでコモリタミノルのポップスのようにダンサブルな「星空のダンスホール」（PEACH★STAR ＝星・我妻)、モータウンビートの「避暑地の森の天使たち」（星・我妻・塩野）と楽しい曲が続くと、ここからは星の持ち味のしっとりとした世界へ。
3期生の星・吉田・井上トリオによるQlairカバーの「パジャマでドライブ」、同期の吉田とのコンビで息の合ったダンスとボーカルの掛け合いを見せる「あたしの靴あなたの靴」、そして劇団ハコムスでの名演技を思い出させる我妻桃実との「ちいさなBreakin‘ my heart」。
特に「ちいさなBreakin‘ my heart」は、ミュージカルの第二幕でヒロインが別離を歌うクライマックスにも見える。
大きな＜物語＞の中で、お互いがお互いの道を見つけて、それを納得した上で別の道を歩み出す、みたいなエモーショナルな光景に見えた。
僕の思い入れが強すぎるだけかもしれないし、もしかしたら何かがこの二人の関係性の中に存在するのかもしれない。
再び全員がステージに登場し、「あの夏のリグレット」「真夏の恋のファンファーレ」「泣かないでエンジェル」と、どれも悲恋を感じさせるものばかり。
「新・失恋の女王」の異名を取る星ならではの、叙情的な歌声が心の奥底まで染み込んでくる。
「真夏の恋のファンファーレ」が披露されたときの「劇団ハコムス」での星の名セリフ、「かわいいもの、飲んでるのね？」を最後にもう一度聞くことができた。
ここから卒業公演はクライマックスへ。
恒例のメンバーからのお手紙とお花贈呈コーナー。
「泣かないですよ」と言っている気丈な星に対して、4期メンバーは涙腺崩壊気味。
星は持ち前の包容力を発揮して温かく包み込んでいく。
同期の3期メンバーは、自由奔放な井上姫月と、純真無垢な吉田万葉。
苦楽を共にした同期ならではの「気のおけない」雰囲気を醸し出していた。
最後にリーダーの我妻桃実からの手紙。
昨年10月に卒業した2期生の阿部かれんに続いて、3期生の星まで見送ることになった我妻。
星に対して「この先もいろいろなことがあるだろうけれども、どうか一人で抱え込まないで」と語る。
鉄戸、阿部が卒業した後のハコイリ♡ムスメの活動の中でいろいろなことを話す機会があったであろう大人組の二人。
いろいろなものを乗り越えて今日があるということを感じずにはいられなかった。
本編最後の曲は「いつか きっとこの辛さも 1000カラットの輝きになる」と歌う「Be My Diamond!」。
そしてアンコール。
「里奈ちゃん！里奈ちゃん！」というファンからの熱いコールに対して、クールダウンを促すような「土曜日のタマネギ」。そして、「さよならのプリエール」。
アンコールで沸き曲を選ぶのではなく、こういうしっとりとした選曲でじっくりと聴かせるのは、やっぱりハコムスだな、やっぱり星里奈だなと思う。
最後は、出会いと別れを歌うハコムスのオリジナル曲「旅をつなげて」。
気付けばもう18曲。
もっと聴いていたい、まだあの曲もこの曲も聴いていない・・・という思いもありながら、ハコムス星里奈の世界観に浸れた2時間30分だった。卒業する星里奈の新しい未来を祝福したい。
そして、来月の定期公演では、新メンバー・新セトリ・新オリジナル曲・新衣装がお披露目されるハコイリ♡ムスメ。
新メンバーのボイストレーニングには星里奈も参加して歌声を聴かせたそう。
2014年の結成以来、メンバーを入れ替えながらも、確実にグループの”DNA”を残して、ハードコアになっていくように見えるハコムス。
今年は、7月に虎ノ門ニッショーホールでのセカンドコンサートも予定していて、昨年よりもさらに飛躍することに期待したい。
そんなハコムスの＜物語＞をこの先も追いかけて行きたいと思う。
（セットリスト）
1 ストローハットの夏想い
2 眩しくて
自己紹介
3 ガールズ・オン・ザ・ルーフ
4 夏休みは終わらない
5 海へ行こう
6 Let‘s Party Time!
MC
7 星空のダンスホール/PEACH★STAR (星・我妻)
8 避暑地の森の天使たち/星・我妻・塩野
9 パジャマでドライブ/星・吉田・井上
10 あたしの靴あなたの靴/星・吉田
11 ちいさなBreakin‘ my heart/星・我妻
MC
12 あの夏のリグレット
13 真夏の恋のファンファーレ
14 泣かないでエンジェル
MC
お手紙
15 Be My Diamond!
（アンコール）
en1 土曜日のタマネギ
en2 さよならのプリエール
MC
en3 旅をつなげて
