繰り返される宗教戦争
かつてパソコンは宗教であった。
Windows派とMac派が互いの優位を主張し合い、相手の短所をあげつらい、譲り合わず、ひたすら論争や罵倒を続ける・・・
まさに「信者」と呼ぶような熱心なユーザーによるマウンティング合戦。
「PCで何をするの?」を置いてけぼりにしたバトルは、僕には不毛な宗教戦争に思えた。
そして今・・・
今度はカメラメーカーが宗教になったようだ。
長年、プロ用のフルサイズ一眼レフ市場で「二強」となって来たキヤノンとニコン。
そこに、旧ミノルタの系譜を汲みながら「フルサイズミラーレス」という新しいジャンルを切り開き、瞳AFで市場を席巻しているソニー。
この秋は、キヤノンとニコンがフルサイズミラーレスに本格参入して来たことで、「信者」によるマウンティング合戦が盛り上がっている。
「どんな写真を撮るの?」をそっちのけにした議論は、またしても僕には新たな宗教論争の始まりのように思えた。
カメラはただの道具
僕にとっては、カメラというのは写真を撮るための道具に過ぎない。
フィルム時代にキヤノンのEOSを使っていた流れで、デジタルのメイン機も最初はキヤノンEOSだった。
レンズ交換式メイン機の変遷としては、
キヤノンEOS5D MK2(フルサイズ)
オリンパスOM-D EM-5(マイクロフォーサーズ)
オリンパスOM-D EM-1 (マイクロフォーサーズ)
という流れで今日に至っている。
ミラーレスに優位を感じてマイクロフォーサーズに乗り換え、フジのXマウントシリーズの洗練に伴ってX-Tを買い換えて来ているわけで、特定の規格やメーカーの「信者」になったことはない。
自分が見たいイメージに近い写真を生み出してくれるカメラが一番いいと思っているし、それがいまはフジのX-T3というだけだ。
2018年秋のカメラシステム(備忘録)
現在のメイン機は、2018年9月にリリースされたフジのミラーレスの最新機X-T3。
僕は、X-Pro1が出た2012年からこのシリーズに期待を持っていた。
初期のXシリーズは、その描写の良さにもかかわらず、操作性が悪く、AFも使い物にならないくらい遅かった。
そのためメイン機とするには躊躇せざるを得ないところがあったが、X-T1でようやく実用性を語れる土俵に乗ったので、Xマウントへの買い替えを決意した。
その後、X-T2で操作性改善や画素数アップ、連写性能向上を果たし、今度のX-T3ではソニー機の優位である「瞳AF」を中心にAF性能の高速化・高精度化・広域化を実現。
欲しかったフィルムシミュレーションの「ETERNA」も搭載して来た。
(Model:ハコイリ♡ムスメ 戸羽望実、Place:AKIBAカルチャーズ劇場)
ETERNAで撮ると、光のグラデーションを繊細に描いてくれる。
まだ使っていないが、カラークロームエフェクトも、彩度の高いモチーフの描写で活躍しそう。
個人的にはX-Tシリーズは熟成が極まったものと考えている。
あと足りないものはカメラ内手振れ防止機能くらいだが、それはいずれX-H2で実現されるだろう。
次に交換レンズ。
まずはXF35mm F1.4。
「引いてよし、寄ってよし」。
(Model:鶯籠 PINOCO、Place:スタジオガーネット)
標準ズームよりも標準単焦点。
X-T3との組み合わせで、AF性能も生まれ変わった。速くて正確。
そしてXF56mm F1.2。
(Model:ハコイリ♡ムスメ 吉田万葉、Place:飯田橋ラムラみやこ橋)
Xマウントで最も明るいF1.2の中望遠。
背景をぼかすのが良い写真ではないと思っているけれども、人物と周囲の情景の空気を切り取るようなドラマティックな描写。
望遠ズームはXF50-140mm F2.8 OIS。
(Model:ハコイリ♡ムスメ 我妻桃実、Place:AKIBAカルチャーズ劇場)
手ブレ防止をレンズ側に内蔵。X-T3の瞳AFと合わせて使えば、ライブハウス内でのイベント撮影でピントを外すことはほとんどない。
標準ズームはXF16-55mm F2.8。
(Model:アクアノート、Place:AKIBAカルチャーズ劇場)
換算24mmから始まるF2.8通しのズームはやはり便利。特に前方でのライブ撮影で。
ただ、描写は単焦点に及ばない。特に逆光性能。
また、大きくて重いというのも、個人的にはネックだと思っている。
14mmか16mmの単焦点に買い換えようかなと思っていつつ、なかなか踏ん切りがつかない。
そんな感じ。
好きを撮りましょうよ、好きを
どの機材がいいとか、どんなテクニックが有効かとか、どれくらい写真歴があるかとか・・・
そういう蘊蓄が「写真」そのものと直結することは少ない。
まして、「信者」による宗教論争は無意味だし、そのエネルギーを撮影に向けようよ、とさえ思う。
写真は、撮ったものこそ全て。
ならば、好きを撮りましょうよ、好きを。
(Model:アクアノート 佐山すずか、Place:スタジオガーネット)
SNSやブログなどネットで見せるのもいいけど、やっぱり大きくプリントして額装して展示したり、プレゼントしたりするのが好き。
(Model:ぶどう党 花咲心菜、Place:スタジオガーネット)
これからも写真を楽しんでいきたい。機材ヲタではなく、写真バカとして。