さあいま窓を開けるよ 未来を信じる勇気で
大きく吸い込んだ風が やがて声に変わるまで
果てしない空のその向こうに 見えた気がした
わずかだけど 確かな光
(Fullfull☆Pocket「光」)
最初に書いておく。
Fullfull☆Pocketの前身グループであるからっと☆を僕が初めて知った時は、石井栞が小学六年生の最年少メンバーとして入っていた。
だから、中原ありすと田附未衣愛の二人が、からあげ組からからっと☆、そしてFullfull☆Pocketと5年を超えた歳月を歩んできた「重み」の本当の意味は分かっていない。
そんな僕が二人の卒業ライブに行ってもいいものなんだろうかと柄にもないことを考えたりもした。
だが、からっと☆がやや唐突ともいえる解散となった時のワンマンで、中原ありすが繰り返した「なんで終わっちゃうんでしょうね」という悲痛な言葉は忘れられずにいる。
その数ヶ月後に@JAM EXPO2015のブルーベリーステージでFullful☆Pocketとして「復活」した時のライブの興奮も覚えている。
だから、二人が「やりきった」という心持ちでフルポケを卒業していくのであれば、その姿を見届けたいと思って、結局行くことにした。
場所は白金高輪SELEN b2。ステージ上に大型のスクリーンのある清潔感のあるハコ。
場内は満員で、OPSEの「piano disco」が流れて、スクリーンにメンバーのプロフィールが映る。
メンバーが純白の衣装で登場し、「フ♪レフ♪レミライ!!!」でライブが始まる。
スクリーンにはVJが映し出され、演出効果を高める。
ノンストップで「ときめきマフラー」、イントロを長くした「I my me mine」でMCを入れつつ、やはりノンストップで「わがままフェアリー」「カンフー乙女。
昨年春に加入したばかりの宇敷陽南がしっかりと踊って歌っている姿を見て、だいぶ体力がついたな、成長したなと改めて驚く。
メンバーがステージからはけると、スクリーンには「からあげ組」の頃の中原と田附のVTRが流れる。
当時の衣装の二人がステージに登場して、「みんなのからあげ」を二人だけで歌う。
僕がこの曲を聴くのは初めてではなかったけれど、この衣装で二人で歌うのを聴くのは初めて。感動。
石井と宇敷も合流すると「から☆コロ☆しゅっぽん」「ベリーベリー!アイスクリーム!」「からっと☆晴れたね!」と、初期からっと☆曲のオンパレード。
続いてはアコースティックコーナー。
TDこと多田慎也の率いるピアノ・ギター・カホンのアコースティックバンドで「キミトシル」「darlin’」を。
フルポケというグループがハモリの美しさを聞かせるグループだということを改めて感じるパフォーマンス。
「あなたに」のシンガロンで盛り上がって、アコースティクコーナーは終了した。
そしてライブは佳境へ。
畳み掛けるように「ドットアオゾラ」「フタリアオゾラ」「きみがだいすき♡」「東京少女」のノンストップで再びアクセルを踏むように盛り上げると、ここでメンバーから挨拶。
宇敷:ありすちゃんとみいあちゃんがいなくなっても心配されないフルポケになりたい
石井:これからも「Fullfull☆Pocketのファンでいてよかった」と思ってもらえるグループにしたい
中原:ずっと自分の居場所だった。卒業してからも応援していきたい。
田附:今のフルフルポケット、みいあを忘れないでほしい。
こんな感じだったかな。
卒業する二人には、ファン有志が用意したメンバーカラーの花束が贈られる。
挨拶に湿っぽいところは一切なく、卒業するありす、みいあからは「達成感」と「感謝」を、後を託されるしぃとひなからは「覚悟」と「意欲」と感じることができた。
最後のブロックは、今のフルポケの最高到達点ともいえるパフォーマンス。
みいあの「皆さんと今この時代を一緒に生きられて幸せです」という曲振りに続いて名曲「今を生きる」。
「誰かが書いたストーリーを破って さあ進もう」という歌詞のメッセージが心の奥底にまで届くよう。
「流星Flashback」の後、最後の曲は「光」。
スクリーンには、ホタルのような微かだけど確かな光。
さあいま窓を開けるよ 未来を信じる勇気で
大きく吸い込んだ風が やがて声に変わるまで
果てしない空のその向こうに 見えた気がした
わずかだけど 確かな光
(Fullfull☆Pocket「光」)
切なさ、強さ、美しさ。その全てが渾然一体となったようなパフォーマンス。
ハモリの美しさも、ダンスの表現力も特筆すべきレベルで、これが現体制のフルポケの最高到達点だと思える。
鮮烈な姿がまぶたに焼き付いたまま曲が終わり、メンバーがステージを去る。
客席からは「アンコール!アンコール!」というコールが起き、やがて「ありす!みいあ! ありす!みいあ!」というコールに変わる。
大きなうねりが生まれたところで、グッズのTシャツに着替えたメンバーが登場。
「アンコールありがとうございます!」「もっともっと盛り上がれますかー?」に続いて、キラーチューンの「おひさまスプラッシュ!」。
間奏でのみいあの決め台詞「ねえ、いま目が合ったよね?」は「ねえ…みんなありがとう!!」に変わった。
最高な盛り上がり。
曲が終わると、TDバンドのメンバーもステージに呼ばれて、客席のファンも合わせて全員で記念撮影。
「フルフルポケットの曲は歌うのに難しい曲ばかりだが、楽曲を提供する方としてもそこで妥協しないできた」
「そんな曲を文句ひとつ言わずに歌ってくれたメンバー、特に今日卒業するありすとみいあには感謝しかない」
「今日のライブでも歌を聞いていたら、しおりの歌の中に、ありすとみいあの成分あった」
「こうやってフルフルポケットの“イズム”が引き継がれていくというのに感動を覚えたし、この先もきっとしおりとひなが受け継いでいってくれると思う」
フルフルポケットの楽曲と世界観が引き継がれていくといいなと思う。
そして、石井栞の口から自身が次期リーダーになることが発表され、「ファンの皆さんにはこれからも付いてきてほしい」と。
大団円のムードが高まったところで、最後は「虹色シャッフル」。
サビでは、ステージのメンバーが「虹色トレイン」を作って舞台の上手・下手を移動する。
それに合わせて、観客がぎっしりと詰まったSELENE b2の客席でもファンが右に左に大移動。
フルポケのメンバーとファンが一体となった瞬間だった。
ライブ動画🎶
— Fullfull☆Pocketスタッフ (@ffp_staff) 2018年1月8日
『虹色シャッフル』
(1.7ワンマンライブ「FUTURE in pocket」より)
あらためまして、ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました!
フルフルポケットは春から新章となります!すこしだけお待ちください☆#フルフルポケット#フルポケ pic.twitter.com/8b71mHD93O
曲が終わると、メンバー4人が手を繋ぎ、マイクを外した生の声で「以上、フルフルポケットでした。ありがとうございましたー」と挨拶。
中原も田附も笑顔でステージを後にし、袖に引っ込むところで「ありがとうございましたー」(中原)、「幸せでしたー」(田附)とラストメッセージ。
客電が点いて、客出しの音楽が流れてくると、大きな会場のあちこちから「よかった」「最高」などの声が聞こえてくる。
コアメンバーの二人が卒業するという大きな節目になるライブだったが、湿っぽさはほとんどなく、楽曲も全曲披露、アコースティックパートもあり、そしてVJを活用した演出も楽曲の良さを引き立て、ある意味で「全部乗せ」的なライブ。
フルポケ現体制の集大成といってもいいだろう。
ライブの翌日、田附は「沢山の思い出をありがとう」というタイトルでブログを更新した。
文字通り青春時代をアイドルに捧げた田附が、アイドルとしてのデビュー以来の期間を振り返って、改めてファンへの感謝を伝える内容。
自分の応援しているアイドルが卒業するときに、活動期間をこんな風に言ってくれたらファン冥利につきる、というお手本のようなブログ。
この先のフルポケがどのようになっていくかは、正直言ってよくわからない。
それくらい「ありす・みいあ」の存在は大きかった。
だが、後を託された次期リーダーの石井栞は中3とは思えないくらいしっかりしているのが挨拶からも伝わってくるし、去年加わった宇敷陽南はこの1年で大きく成長している。
どんなメンバーが入るにせよ、TDこと多田慎也楽曲という大きな武器がフルポケにはあるし、からっと☆結成以来の「魂」とでもいうべきものをしっかりと受け継いだしぃとひなちゃんなら、きっとこの先も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるに違いないという点は確信できる。
今日卒業したありす・みいあの二人に心から感謝しつつ、この先のフルポケの活動にも期待したい、そう思わせる最上級のワンマンライブだった。
おまけ。
今回、Sチケットで入ったので、ひなちゃんの手描きのメッセージカードをもらえた。
尊いよ、ひなちゃん。。。
(セットリスト)
0 piano disco
1 フ♪レフ♪レミライ!!!
2 ときめきマフラー
3 I my me mine
4 わがままフェアリー
5 カンフー乙女
VTR
6 みんなのからあげ(中原・田附)
7 から☆コロ☆しゅっぽん
8 ベリーベリー!アイスクリーム!
9 からっと☆晴れたね!
10* キミトシル
バンドメンバー紹介
11* darlin’
12* あなたに
(*アコースティック)
13 ドットアオゾラ
14 フタリアオゾラ
15 きみがだいすき♡
16 東京少女
メンバー挨拶〜花束贈呈
17 今を生きる
18 流星Flashback
19 光
en1 おひさまスプラッシュ!(間奏セリフ「ねえ…みんなありがとう!」
MC記念撮影
多田慎也さんから贈る言葉
次期リーダー石井栞から挨拶
en2 虹色シャッフル