「怖い絵展」を観に行ってきた。
メインがドラローシュの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」、準メインがウィーターハウスの「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」というキービジュアル。
ギュスターヴ・モローなど在フランスの作品もあるが、総じて英国文化の"陰"の部分をクローズアップするような展示。
僕の好きな画家、好きな作品が来ているので足を運んだが、この会場だけは好きになれない。
何度来ても、美術館とは思えないイベントスペース。作品鑑賞のスペースが乏しく、誘導の声がうるさい。
またキャプションも、普通の学芸員なら絶対に付けない過度にセンセーショナルなもの。
まあ、フジサンケイ主催というだけあって、学術的な観点よりも、大衆の求めるグロテスク趣味に応えているのだろう。
中野京子の2007年の著書『怖い絵』を体現した展示なのに、音声ガイドはなぜか吉田羊。中野氏の協力は得られなかったのだろうか。
それでも平日昼に館内は大盛況。日本の美術展といえば、ルネサンスや印象派の有名画家・名作偏重の傾向があったが、この集客を踏まえて各美術館にはコンセプト展示を増やして欲しいと願う。