映画「永い言い訳」

人間の心の暗部を描くことにかけては定評のある西川美和による作品。

今回も、主人公の作家が、奥さんの旅行中に愛人を家に招いて不倫をしているまさにその日に、奥さんがバス旅行で亡くなるというところから始まる。

喪失感のなさ、罪悪感、世間体、演じる自分への嫌悪など、様々な負の感情が渦巻く中で、同じ事故で奥さんを亡くした友人から連絡が入る。

ストレートに感情を表現する彼、そして複雑な境遇に陥る彼の子供達。少しずつ家族との付き合いが増えて行く中で、主人公も本当の自分の心に向かい合って行く。

孤独に生きる中年男性を描いた作品で身につまされるところも多いが、どんなに「格好悪い」男を演じても、本木雅弘だからかっこ悪くなりようがない。

人はやはり孤独で、誰とも「分かり合える」ということはないと思わされた。いつもながらの西川美和節で、こういうのなんていうか苦手なんだけど。