いつかわたしが君のこと見えなくなってしまっても~sora tob sakana 単独公演「月面の音楽隊」@恵比寿LIQUIDROOM

いつかわたしが君のこと
見えなくなってしまっても
美しい怒りを 気高さを
わたしにくれた鳴き声を
忘れないよ
sora tob sakana「透明な怪物」)

sora tob sakanaにとって初めてとなる全編フルバンドセットのライブが恵比寿LIQUIDROOMで行われた。


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開演は15時。チケットは前売りでソールドアウト。オルスタの客席はものすごい人、人、人。


客入れの音楽が流れているところに、今日の公演の限定Tシャツを着たバンドメンバーが順番に入場。

各々の奏でるチューニングのような音は徐々にまとまって「海に纏わる言葉」へ。

そこにオサカナのメンバーが登場。

寺口夏花の「sora tob sakana始めます」を皮切りに、最新曲の「ribbon」。

一音ずつ音色が変わるイントロから少しずつメロディとリズムが乗ってくる曲。

ギアが徐々に上がるように、オサカナの世界が始まっていく。

正面のスクリーンには、音楽に合わせたVJが流れて、楽曲の世界観のイメージを確かなものにする。

これが、僕の聴きたかった音。見たかった景色。





続いて、1stシングルの「夜空を全部」。

メンバーの自己紹介は、sora tob sakana、そしてバンドメンバーと一気に行われる。

まるでこの11人が一つのチームであるかのように。

ほのぼのとしたメンバーのMCは、ステージと客席の距離感をぐっと近づける。

次のパートは「Summer Plan」「My notes」、そして振付のレクチャーに続いての「帰り道のワンダー」。

昨年リリースの「sora tob sakana」に所収の曲。

今となっては懐かしさもあるが、バンドサウンドを得て、新鮮な輝きを放つ。

「帰り道のワンダー」では、振付のレクチャーもあってか、「帰り道!」「回り道!」「けもの道!」「迷い道!」のコールで広いLIQUIDROOMの場内が一体になった。








熱気に満ちたところで、MCを挟んでチルアウトなバラード「おやすみ」。

さっきまで高揚感の充満していたフロアに一気に癒しをもたらす。

そこからの抒情的な「まぶしい」、そして今日のセトリの中では最高にアヴァンギャルドな「広告の街」。

一音一音をメンバー間で歌い継いでいくボーカル。

変則的なブレイクが多く、アインザッツを揃えるのも容易ではなさそうな演奏。

それを高い次元で融合したステージが今目の前で繰り広げられている感動。

これこそ生演奏の醍醐味。

「ここからラストスパート」というMCに続いて、最新のミニアルバム「cocoon ep」収録の「夢の盗賊」、そしてスケールの大きいシンガロンで盛り上がる「夜間飛行」。

まるでロックフェスのクライマックスのようなフィナーレ感。

いよいよ最後となった曲は、夏の日の儚さを歌った「夏の扉」。

去年7月のWWWでのワンマン前後でぐっと成長したオサカナ。

そのオサカナと駆け抜けた熱い夏の思い出が蘇ってくる。

バンドメンバーがアウトロを演奏している間に、オサカナのメンバーはステージを去っていく。

彼女たちの眩しい残像が僕の目に焼き付く。

対象が消えたあとに網膜に残るこのイメージには何か名前があったはず。

だが、その名前を思い出せない…そんなことを考えているうちに演奏は終了。

拍手喝采に包まれてバンドメンバーも退場。









間髪を入れずにクラップが起こり、「サカナ!サカナ!」のコールが熱気を起こしていく。

オサカナのメンバーに先立って、バンドのメンバーが登場。

音楽プロデューサーの照井順政が「音楽プロデュースを始めたころは、当然のようにバンドで演奏するようなこともあると思っていたが、やってみてそれがなかなか難しいことだと分かった。今日もこの公演をするのに多くの方に支えられていると実感した。この先も多くの人に音楽を届けていきたい」と語る。

「いい話だなー」と聞き入っていたところに、ブラックの限定Tシャツに着替えたメンバーが登場し、「照井さん、歌やりましょう」と。

いいオチが付いたところで、アンコールは「新しい朝」。

バンドの音の渦、メンバーのボーカル、会場のコールが大きなうねりを生み出す。

サビ前の「起きろー!」での熱狂。

そして、メンバーが一人一人挨拶。

神崎風花、山崎愛、寺口夏花は「これからも上を目指していきたい」「5人くらいしか来ないと思った」「人が多いのは苦手なんですよ」といういつものオサカナ節。

そして風間玲マライカ

「去年のWWWのワンマンでは「売れたい」と言ったけれど、売れるのは簡単じゃないし、すぐ売れるのはつまらないと思うようになった。山あり谷あり。それをみんなと一緒に経験していきたい」と語る。

最後の曲です、という紹介の後、直立不動でハモりを聴かせる「透明な怪物」。

いつかわたしが君のこと
見えなくなってしまっても
美しい怒りを 気高さを
わたしにくれた鳴き声を
忘れないよ
sora tob sakana「透明な怪物」)

たとえ、いつかsora tob sanakaのことを見ることができなくなってしまったとしても、僕はこの美しさを忘れることはないだろう。

そう思いながら聴いている。

もちろん、そんな日が来ないように願いながら。









最後の一音が終わったところで、「クラウチングスタート」。

個人的な思い入れを言えば、僕にとってはオサカナのライブを観た原点のような曲。

もう今日のライブで聴き残したものは何もない、そう感じさせるライブだった。全部で1時間40分。

この夏のライブに関する告知もあり、7月16日のピエールフェスへにバンドセットで参加することと、7月17日に渋谷WWWXでワンマンを行うことが発表された。

去年もオサカナは大きく成長したけど、今年のオサカナはさらに大きくなり、その音楽は今よりももっと多くの人に届くだろう。

それを確信させる公演だった。




おまけ。

終演後、メンバーに感想を伝えて、寺口夏花ちゃんとチェキ撮った。

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お揃いのTシャツ。

まではいいんだけど、俺の脚、異常に短いな?




(セットリスト)

0 海に纏わる言葉(寺口)
1 ribbon
2 夜空を全部
MC
3 Summer Plan
4 My notes
5 帰り道のワンダー
MC
6 おやすみ
7 まぶしい
8 広告の街
MC
9 夢の盗賊
10 夜間飛行
11 夏の扉
(アンコール)
en1 新しい朝
MC
en2 透明な怪物
en3 クラウチングスタート