ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』

ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」。」

30万部超というベストセラーということで、とりあえず読んでみた。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

上巻は、人類史を対象範囲として、農耕における権力と搾取、グローバル化について考察。上巻の最終章は貨幣。

これって、ある面でカール・マルクス唯物史観に関する業績を土台にした考察なんじゃないの?っていう。

下巻では、宗教、科学、資本主義、幸福、「生命」を対象にした科学技術論を展開。

マルクスケインズの経済史観を土台にしつつ、端々に具体的トピックを入れているのが特徴。

「科学」「生物学」的な観点は下巻では後退し、知的刺激という観点からは『銃・病原菌・鉄』の方が上かなという印象。

ただ、「普遍的な価値」とされるものがフィクション(共同幻想)に過ぎない一方で、そうしたものが歴史を動かし、これからも未来のカギを握るであろうという視座はそれなりに面白かった。