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『スターウォーズ エピソード7〜フォースの覚醒』

映画

10年振りのスターウォーズの新作『フォースの覚醒』を観に行った。

監督は、ジョージ・ルーカスからJ.J.エイブラムスへと変わっている。

J.J.エイブラムスが監督になったのは、『スタートレック』シリーズを鮮やかにリブートした手腕が買われてのことだと思われ、今回も「スターウォーズ・リブート」的な位置付けの作品になると予想していた。

また、ルーカスフィルムをディズニーが買収したことを受けて、怒涛のようなキャラクターグッズ展開がなされているが、ディスニーという会社のポリシーからして、より「ファミリー色」が強まることも想像された。

さて、全世界一斉封切りとなった2015年12月18日。

僕が選んだのは、新宿歌舞伎町のTOHOシネマズ。20時の回。

プレミアム価格2000円と3D料金で2400円という「いい金額」にもかかわらずチケットはソールドアウト。これがフォースの力か(違)

入場時に、豪華パンフレットみたいなものが無料で配布される。中身は、グッズのカタログとオンラインゲームアプリの紹介。

上映前に『ONE PIECE』とコラボした短いアニメが流れるが、いたって差し障りのないもの。多少お祭り気分を盛り上げる程度。

さて、本編。


ネタバレを回避するために、内容の詳細は省くが、一言で言えば「ソツなくまとめたスターウォーズ リブート」であり、さすがJJ、という感じ。

旧作、特にエピソード4〜6の世界観を崩さずに、スターウォーズファンが期待しているシークエンスをテンポ良く盛り込んでいる。

そして、変なキャラクターを出したり、期待を裏切るようなエピソードを盛り込んだりもしない。

個人的には、エピソード1には首をかしげるような展開もあったけれども、このエピソード7には、そういう「違和感」を感じるような場面は一つもなかった。

そして、この作品の一番良いところは、新しいキャラクターがいずれも魅力的であることだろう。

ヒロインはとても凛々しく、強く、逞しい。それでいてとても人間味がある。21世紀のディスニー映画のヒロインに通じる「男性に頼らない自立したヒロイン」を体現している。衣装も女性らしさを強調しないストイックなもので、このまま最後までいってほしい。変に露出したり、無駄に性を強調するようなシークエンスがないことを祈る。

また、新たな敵役には、これまた「悩むダークヒーロー」という21世紀型の造形が取り入れられていて、単に「悪い事を為す」という以上の不気味さを描きつつ、適度な感情移入を誘うことで、「光と闇の葛藤」みたいなものを見ている僕らも感じることができるようになっている。

その他の人物も、優秀なパイロットや、複雑な立場を抱える戦士など、いずれも魅力的に描かれていて、アジア系が少ないという点を除けば、いわゆるダイバーシティが示されている。この辺もディズニー映画らしいところ。

子供向けには、新しく投入されたドロイドの「BB-8」が、文字通り「8」の字の形のようなキャラクターが、スクリーンを縦横無尽に動く。

このドロイドには、もはや「クロサワ・オマージュ」的な要素はなく、雪だるまのような造形は、スターウォーズにインスパイアされた「機動戦士ガンダム」に出てくるハロの逆輸入のようでもあり、「アナと雪の女王」のオラフの実写版のようでもあり。まあ、和む。

作品として、しいて物足りないところを探すとするならば、「これは銀河の物語である」ということを感じるようなスケールの大きさとか、「テクノロジーの進化すげえ」的なセンスオブワンダーとか、「俺にもフォースあるかも」的な厨二病テイストとか、そんなところがあるとさらにいいなと思った。

まあ、でもこれはきっと見る側の僕の方の問題で、事前の期待の高さとか、旧作にどっぷり慣れ親しんでしまって感覚が麻痺しているせいかもしれない。

という感じで、ややマニア的な琴線に触れるところが物足りないという点はあるものの、良くも悪くも期待を裏切らない手堅い新作であることは間違いない。

当然のことながら、旧作ファンを喜ばせる仕掛けが随所に用意されていて、旧作の人物が登場する場面では拍手したくなるし、おなじみの台詞が飛び出すところでは思わずニヤニヤしたりという楽しみはある。

しかし、これは裏を返せば、旧作を知らないと十分に楽しめるとは言えないところで、『スタートレック』のリブートとは異なり、旧作の予習は欠かせない。未見であればエピソード4〜6の三部作を予習した方がずっと楽しめるし、ストーリーがうろ覚えであれば、エピソード6だけでも復習した方がいいかと思う。エピソード1〜3は、まあ、お時間があれば…という感じ。

ストーリー自体は、旧作のオマージュというか、「歴史は繰り返す」というスターウォーズ・シリーズの重要なテーマに則っているわけで、ある程度のファンであれば、展開に予想がついてしまうわけだが、ある意味、その「お約束」を楽しむための作品として、これほど良くできているものはない、と言えるかもしれない。

もし点数を付けるのであれば、<80点>。エピソード8、エピソード9でさらに点数が上がっていくことに期待の持てる80点、ではある。

ということで、『スターウォーズ エピソード7〜フォースの覚醒』、やべっぞ!