「WICKED」@GERSHWIN TEATRE

「WICKED」は大好きなミュージカルの一つで、日本、ロンドン、NYで何度見たか分からないくらい見ているけれども、やっぱりNYの迫力にかなうところはない。

今日はネットチケットを購入。BB列の106ということで、最前のほぼセンター。162ドルは安くはないけれども、この席なら高くもない。オーケストラピットの中もちらっと覗けたが、金管楽器6、木管楽器2、バイオリン1、ギター2、キーボード2、パーカッション1、指揮者1、くらいの編成だった(正確に数えた訳ではない)。

主演だが、まずエルファバ役のCaroline Bowman。低音から高音まで情感たっぷりに聴かせるタイプ。気になるところは、エルファバにしては少々美人すぎるところくらい。最後の グリンダとのデュエットでは、役に入り込むあまり頰に涙が伝わるのが見えた。

続いてグリンダ役のKara Lindsayは、高いソプラノを響かせて歌唱力という点では文句なし。頭は少々弱いが、人は好いというグリンダのキャラクターにぴったりで、ときどきアドリブかと思わせるセリフ回しを挿入して、場内の爆笑を誘っていた。

フィエロを演じたMatt Shingledeckerは、貴族のノーブルな雰囲気は薄かったがマッチョなイケメンで、圧倒的に女性客の多いこの演目のニーズに応える人選。ソロ曲の歌唱ではやや線の細い印象もあったが、デュエットでは完璧なハーモニーを聴かせた。

ボック役のRobin De Jesusは、低い身長といい、どこか同情を引く表情といい、もう誰がどう見てもボックそのもので、ハマり役。

ネッサを演じたArielle Jacobsは、今回のキャストの中で個人的に一番惹きつけられた俳優。出番はそれほど多くないし、歌割りも少なめなのだが、喜怒哀楽をはっきりと現すネッサらしく、瞳に情熱を宿らせる演技が光っていた。

他は脇を固めるベテラン俳優が…と書きたいところだが、マダム・モリブルを演じたMichele Leeの演技には、物語の黒幕的なポジションに相応しいアクの強さが欲しかったし、オズの魔法使いを演じたFred Applegateは、やや体格が良すぎで、孤独な魔法使いの悲しさの方が強調されすぎのように見えた。

とまあ勝手なことを書いたけれども、アンサンブルを含めてブロードウェイのパワーは圧倒的であったし、こんなに素晴らしい舞台を観てしまうと、なかなか他の舞台を観たくなくなるという弊害はある。

やっぱりブロードウェイミュージカルはやめられない。