希望になれるのか―Peach sugar snow「さよなら惑星」リリイベ@秋葉原タワレコ

あなたにとって私は希望にはなれませんでした
Peach sugar snow「さよなら惑星」)

「3人のPeach sugar snow」が好きだった。momoka,an,ainaの異なる個性を持つウィスパーヴォイス、磨き抜かれたフォーメーションダンス、そして3人違うパーソナリティが生む相乗効果。

だが、もう「3人のPeach sugar snow」は帰ってこない。anは3月にユニットを卒業し、学業に専念している。momokaは、ソロ活動へと移行しているところ。このユニットを一人で引き受けているのが、12才・小学6年生のainaだ。

一体、一人のPssはどうなるんだろう?

先日のお披露目の評判が高かったとは言え、僕は自分の目で見るまでは信じられなかった。そして、悪いことに、「3人のPssのファイナルライブ」を最後に僕はPssを聴くことさえできずにいた。

そして今日。朝早起きして、半ば封印していた「3人のファイナルライブ」のDVDを視聴し、これまでのPssの音源を全部通して聞いてから、会場となる秋葉原タワレコに向かった。

ainaがたった一人で着物を着てステージに上がる。その姿はとても小さいのに、堂々としている。彼女こそが新しいPeach sugar snowなのだ。

着物でひざまずいて「さよなら惑星」を歌いはじめる。

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さよならよりも近い惑星に住んでいました
あなたは私にとって知らない惑星の人でした
私はただのつまらない人でした
あなたにとって私は希望にはなれませんでした
Peach sugar snow「さよなら惑星」)

3人のPssは、確かに僕の希望だった。

そして、3人での活動に終止符を打ったことは、メンバーそれぞれの「想い」を理解すればやむを得ないと分かってはいるけれども、僕の希望を打ち砕いた。

そうだね。希望にはなれなかったのかもしれないね。

長い間奏でainaは着物を脱ぎはじめる。桃色の着物はいままでのPssを象徴しているように見える。彼女が脱いでいるのは、背負っている伝統。そして、完成された様式。

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そこから、まっさらな純白の衣装が姿を現す。これがまだ誰も知らない新しいPss

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そして、ウィスパーヴォイスではない、確かな地声で、ainaは伸びやかに歌いはじめる。

遠く遠くゆらめいて あの惑星には
遠い遠いあなたの場所まで 届いてよ
Peach sugar snow)

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ainaは新しい姿になって、僕らのところにメッセージを届けようとしている。その距離は遠いものになっているかもしれない。以前よりも。それでもあきらめずに届けようとする強い意思を感じさせる。


Peach sugar snow 5th「さよなら惑星」 - YouTube

孤独に負けない強さというのは、作者の小林清美の得意とする世界観であるし、愛弟子であるainaはたった一人でも十分にこの世界を表現する才能を持っている。そして、この曲でアレンジを担当した和田洋平のドラマティックで透明感のある演出が、彼女の決意の強さを浮かび上がらせる。

続いて、ラップ風のパートがあるカップリング曲「電子記号少女」、バラード調の「難しい答はいらない」と表現の幅を聴かせた後、アレンジ違いの「さよなら惑星」でステージは終了。

年齢だけで何かを語るつもりはないが、このステージをわずか12才の少女が一人でやり遂げていることに感銘を受けざるを得ない。

ainaは新しいPeach sugar snowの物語をしっかりと紡いでいくだろう。そして、それは、僕らの新しい希望になれるだけの可能性を十分に秘めている。そう信じられるステージだった。










以下はおまけ。

秋葉原タワレコの予約特典。フルコースの、握手、サイン、ステッカー、写真セット、そしてMVのメイキングDVD。満足度高いね。

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(セットリスト)

1 さよなら惑星
2 電子記号少女§
3 難しい答はいらない
4 さよなら惑星〜かぐや姫の涙〜(別アレンジ)