夢アドのツアーファイナルが中野サンプラザで行われた。
会場前には、他のアイドル現場と違って、多くの若者が集まっている。中でも僕が驚いたのは、メンバーの生誕委員の方々がメッセージカードへの協力を呼びかけ。大勢の委員を目撃したが、揃いも揃って若い女性ファン。制服のJKっぽいファンもいて、夢アド現場のいまの勢いと活気の鍵を見る思い。
入り口は、一般の他、ソニーミュージック関係者、博報堂関係者の3か所。中に入ると、多くの花が贈られている。
「日経エンタさんごめんなさい」というタイトルには、やや内輪ウケ感と馴れ合い感があり、プロデュサーによる「1000人が10万円を使いたくなるようなコンテンツ」という発言を思い出させた。
だが、ともかくソニーミュージックに所属して、東名阪のツアーのファイナルとなるメモリアル公演。これを見逃す手はない。
手堅く始まった序盤
冒頭、黒いブレザーにチェックのミニスカートという制服スタイルでメンバーが登場。舞台の上に立つだけで絵になるスタイリッシュさ。
メジャーデビューシングルの「Bye Bye My Days」でライブは幕を開けた。シンプルだがセンスのいい舞台装置、そして背景には大型の液晶スクリーン。ときどきメンバーの顔がアップになり、クールな表情が浮かび上がる。
続く「マワルセカイ」の後、自己紹介のMCとなり、そして「どこにでもいる、至って普通」と「純情」という同世代の女性に人気の高そうな等身大の女性の気持ちを綴ったようなナンバーを歌い上げた。
テンションの高いままMCに入り、リーダーの荻野可鈴は「イベントでここに来たことがあるけれど、いつか夢アドで中野サンプラザに立ちたいと思った。今日夢アドの5人でこの舞台に立っていることが本当に幸せ」と語った。
メンバーが会場のファンに「遠くから来た人、手を挙げて」と言って挙手させ、どこから来たかを聞き始める。聞えて来たのは、「大阪」「神戸」「兵庫」…そして、「香港」「タイ」「マレーシア」。ユメトモの輪は確実に海外にも広がっている。
続いて、マイクスタンドを使った「ヒロイン」、そして、チェアダンスを取り入れた「秘密」へ。
シンプルな舞台装置だが、単調なステージにならないように、演出に工夫が凝らされている。
ピアノの長いイントロに続いて、バラードの「涙が出るくらい 伝えたい想い」へ。しっとりとした曲想に合わせて、ブルー系のレーザー光線が館内を照らして、まるでプラネタリウムのような雰囲気に包まれる。ここが序盤のクライマックス。
変化球を見せた中盤
メンバーが静かにはけた後、ステージのスクリーンには荻野可鈴ちゃんと志田友美ちゃんのコンビが映し出される。あらかじめ録画しておいたVTRで「たたいてかぶってじゃんけんぽん」と「あっち向いてホイ」を見せて笑わせてくれる。
この間に着替えたメンバーは、新しい黒とピンクのワンピースの衣装でホールの後ろの扉から登場。
上手寄りと下手寄りで3対2に分かれて、メジャーデビュー曲の「DATE COUNT FIVE」を歌いながらステージに向かってくる。
この曲はNegicco等に楽曲提供を行っているconnieさんによる作品で、まるでローカルアイドルのライヴのようなアットホームな雰囲気を夢アドのライブにももたらした。
続けて、ちょっと甘いラブソングの「ハナモモ」から、ドルヲタノリが楽しい「キャンディちゃん」、そしてサインボールを会場に投げ込む「泣き虫スナイパ→」へと、一挙の4曲を連続で演奏。
短時間で目まぐるしく変わる表情を見せた後は、メンバーカラーのハッピを羽織り、「夢みる大喜利」コーナーに突入。
山田朱莉が司会役となり、他のメンバーが次々にお題に応えて行く。
お代は「その超能力 微能力」「石油王の1万円の使い方」「中野サンプラザの秘密」「新しい自由の女神のポーズ」「クレヨンしんちゃんが絶対に言わなそうなセリフ(しんちゃんのモノマネで)」「このお化け屋敷、怖くないのはなぜ」「東京タワーのてっぺんにある隠しボタンを押すと何が起きる」。
結果はかりんちゃんが28枚でトップ、そしてゆうみんが0枚でビリ。ゆうみんは、途中、けっこうざぶとんを積み上げた上に座っていて、バランスを維持していたせいか足がつったりしていた。
最下位のゆうみんには罰ゲームが与えられ、足つぼ担当の樋口先生に足つぼをぐりぐりと押されて悲鳴を上げていた。先生いわく悪いところは「胃」だと言っていて、ゆうみんは、他のメンバーから「甘いもの食べ過ぎだね」と突っ込まれていた。
歌とダンスが今のアイドルのメインではあるけれども、こういうコントをちゃんとできるのは夢アドの強みなのかもしれない、と思う。
(大喜利の途中で京佳が「お母さん見てる? 今日お母さんの誕生日なんです」って言っていたけど、アレはネタだったのかガチだったのか…)
畳みかけるような終盤
大喜利が終わるとダンスチューン中心の終盤へ。
ステージのスクリーンに映し出される幾何学模様の近未来的なCGの演出と絡み合う「ステルス部会25:00」「証明ティーンエイジャー」そして「絶対的シンパシー」へ。
マイナーコードで低音のブーストされた音響に包まれ、ステージからはスチームが吹き出し、幻想的な雰囲気へ。中野サンプラザの館内がまるでダンスホールのように感じられる。
曲が終わると、ツアーの思い出を語るMCへ。大阪では「関西弁」がうつったとか、名古屋は手羽先が美味しかったとかそういう小ネタから始まったが、「キャンディちゃん」を歌っているときに、小林玲ちゃんが「ここは中野!」とか地名を入れていた話へ。そして、玲ちゃんのトークが面白くないといういつものフリになって、何か面白いことを言わせるという流れへ。
かりんちゃんが「あと残り2こくです」と噛み気味に言って、それを言い直すためにわざわざステージの階段に上るというパフォーマンスを見せて、最後の2曲へ。
「17:30のアニメ」そして、最後はみんなで一緒にタオルを振る「JUMP!」へ。サビに入ると天井から金テープが振ってくる演出も効果的だった。
メンバーの退場を見送った後、ファンがアンコールを発動。ツアーTシャツとチェックのスカートに着替えた5人は、今日が初披露となる「フォトシンテシス」そして、アンコールの締めに相応しい壮大な「ひまわりハート」を熱唱。今度は天井からハートが舞い降りてきた。
最後の最後に手をつないだメンバーが「今日は本当にありがとうございました」と肉声で挨拶。ツアーのファイナルを締めくくった。
ホールで輝く5人のメンバー
メジャーデビューして、ツアーも順調にこなしてきたメンバーの自信はステージにも溢れていて、その輝きは眩しいほど。
夢アドより歌やダンスの上手いアイドルはいるだろうが、いまの夢アド以上にコンサートホールのステージで2時間輝き続けられるグループがいるだろうか、と思わされるパフォーマンスだった。
MCで噛んだり、足がつったりというアクシデントも全部ポジティブに転じる勢い。また、演出や構成も完璧なプロの仕事で、大喜利を挟み楽しませた直後に畳み掛けるような圧巻のクライマックスへなだれ込む流れは、最後に幸福感を与えてくれた。
館内には若い女性ファンが多く、家族連れも目に付くような幅広いファン層。
夢アドは、いま初武道館を狙える最短距離にいるアイドルだと思わずにはいられなかった。
(セットリスト)
1 Bye Bye My Days
2 マワルセカイ
3 どこにでもいる、至って普通
4 純情
5 ヒロイン
6 秘密
7 涙が出るくらい 伝えたい想い
8 DATE COUNT FIVE
9 ハナモモ
10 キャンディちゃん
11 泣き虫スナイパ→
12 ステルス部会25:00
13 証明ティーンエイジャー
14 絶対的シンパシー
15 17:30のアニメ
16 JUMP!
(アンコール)
en1 フォトシンテシス(初披露)
en2 ひまわりハート