夢掴む日まで―Negicco@赤坂BLITZ

空に光る星のように 僕らずっと輝きたい
夢掴む日まで この手は決して離さない
Negicco「SKY」)

アーバンな序盤

Negicco初の全国ツアー。全17か所のうち12か所目の今日は東京。しかも過去最大規模の赤坂BLITZ。通常の全国ツアーならばファイナルに東京の大箱を選ぶのが定石だが、Negiccoのファイナルは新潟県民会館。だから、今日のこの赤坂BLITZはセミファイナル的なものになるかと思っていた。BGMで流れるアズテック・カメラを聴きながら、そんなことを思う。

19時40分。期待に包まれたフロアにNao☆ちゃんの影ナレが響く。優しい声で「携帯の電源をお切りください」という注意事項。張りつめた雰囲気が一気に和らぎ、Negiccoならではの温かい空間になる。

金曜日の夜ということで赤坂BLITZの1階フロアには仕事帰りの服装の人も目立つ。2階は関係者席。connieさんや嶺脇社長の姿も。

Overtureが始まると、会場から大きな手拍子。ステージには天井から何枚も白い幕が下がっている。下の方に緑色のぼかしの入った「ネギカラー」の幕。

「光のシュプール」のイントロが始まり、歓声が大きくなると、センターの幕が上がり、Nao☆ちゃんの姿が現れる。そして、左右の幕が開いて、ぽんちゃとかえぽも姿を見せる。

シンプルだがドラマチックな演出。演奏にはホーンセクションも加わり、楽曲の良さが引き立つ。初めてオリコンTOP10に入った代表曲。この曲でNegiccoを知った人も来ているだろうし、11年に及ぶ長い歴史の中でこの曲にひときわ思い入れを抱いている人もいるだろう。

間髪入れずに「トリプル!WONDERLAND」。打ち込みのスネアドラムの連打でフロアが沸き立ち、「せーの!」に続いて「N・E・G・I・C・C・O!」の大合唱。いきなりトップギアへ。

続いて最新アルバム「Rice & Snow」から「二人の遊戯」「Space Nekojaracy」「パジャマ・パーティー・ナイト」と、アーバンなチューンを連続で。金曜の夜の赤坂を意識したかのような、大人っぽいNegiccoを聴かせていく。

曲の終りには、ダンスの止めのポーズがシルエットになって垂れ幕に投影されていて、スタイリッシュ。

自己紹介のMC。「今日は誕生日です」と話すNao☆ちゃん。「平日なのにこんなに多くの人が来てくれて」と喜ぶぽんちゃ。そして「みなさんどこから来たんですか? きっといろいろなものを犠牲にして来ているんですよね…」と笑いを取るかえぽ。

ここから、BPMを落としたまったり系の恋愛楽曲ブロックに突入。

「クリームソーダLove」「1000%の片想い」「相思相愛(あら恋 remix)」「新しい恋のうた」。好きになった相手を想う気持ちが伝わってくるようなフレッシュなパフォーマンスに心が癒されるような思いがする。

アコースティックライブの中盤

ここで、ゲストのユメトコスメ・長谷泰宏が登場。

金沢のライブ(今の君しかできないーNegicco@金沢21世紀美術館 - SHARPのアンシャープ日記)で、その相性の良さは折り紙付きだが、まさかこの赤坂BLITZでも見せてくれるのか。

流れるようなピアノのイントロの「Falling Stars」が始まると、ステージの上から星形のバルーンが落ちてくる。まさにFalling Starsな演出。Nao☆ちゃん流にいえば「星、ほしい」っていう感じ。

長谷さんの作った「イミシン☆かもだけど」を金沢に続いて聴かせてくれて、最後は、生フルートも加わって「ルートセヴンの記憶」を。ネギライトも振らず、うっとりしながら聴き入った。

長谷さんが退場すると、次のゲストはヒックスヴィルの木暮晋也。アコースティックギターをひょいっと持って登場する姿は粋そのもの。

軽妙なカッティングで「サンシャイン日本海」を弾き始める。この曲を作った田島貴男とは高校の同級生同士。Negiccoの場合、人と人のつながりが大事にされている感じがあるけれど、このコラボレーションにもそういう縁を感じる。

ニューアルバムから「裸足のRainbow」、そして「Summer Breeze」。こんなにハーモニーの美しい曲だったのかという新たな発見があった。

怒涛の終盤、そしてNao☆ちゃんの生誕


木暮さんが退場すると、かえぽが待ち切れなかったかのように告知。7/20にネギフェス@所沢航空公園野外ステージ。出演者は、エスペシア、オカモトズ、そしてなんとトライセラトップス。かえぽの嬉しそうな顔。ぽんちゃは「Negiccoオープニングアクトでいいから、フェス見たい」と言えば、Nao☆が「抜け駆けは禁止ですよ」とツッコミ。

このフリに続いて、「パーティーについて」「ネガティヴ・ガールズ!」「ときめきのヘッドライナー」と怒涛の終盤へ。ブレイクを入れずに「さよならMusic」のサビからイントロが始まると、ぽんちゃが「Negicco最後の曲です!」と観客を煽る。ここで盛り上がりは最高潮へ。

メンバー退場後「アンコール!ネギ!アンコール!ネギ!」の大歓声に呼び戻され、「自由に」に続いて、キラーチューンの「圧倒的なスタイル」を。赤坂BLITZの一階フロアを埋めた1000人のよる圧巻のラインダンス。

続くダブルアンコールでは、Nao☆ちゃんのメンバーカラーの黄色のサイリウムがフロアを埋め尽くす。長谷さん、木暮さんも登場し「ハッピーバースデー」で誕生日を祝った後、Nao☆ちゃんの作詞した「SKY」を。

「空に光る星のように 僕らずっと輝きたい 夢掴む日まで この手は決して離さない」という歌詞は、これからもステージに立ち続けて夢をつかもうとするNegiccoの決意を歌う歌として、心に染みて来た。

メンバーが拍手喝采に包まれて退場し、アナウンスがあってからも、観客の興奮は冷めやらない。

時計は22時を回っていて、フロアには終演後BGMの「トリプル!WONDERLAND」が流れている。そこにコールを入れて湧き続けるファン。こういう光景は見るのは久しぶりだな、と思う。

夢掴む日まで

赤坂BLITZは、Negicco史上、東京最大のハコだったが、万代バスセンターや新宿タワレコと変わらないアットホームな空気のライブになった。

奇をてらうことのない安心感のあるステージ。2時間半・22曲という充実した内容だったが、終わってみれば、セミファイナル的な気負いは感じられず、いつものNegiccoの自然体の姿。こんなにアットホームな赤坂BLITZは僕にとっては初めての体験だった。

2時間半にもわたって、こういう温かい雰囲気を維持し続けるのは実は容易ではない。どんな大きなハコになっても、自分たちの雰囲気で観客を包み込むことができるのがNegiccoの強み。

この力があれば、Negiccoは5月5日のファイナルの新潟県民会館はもちろん、きっといつか立つであろう日比谷野音でも日本武道館でも輝く姿を見せてくれる―そう思わされた夜だった。

(セットリスト)

1. 光のシュプール
2. トリプル!WONDERLAND
3. 二人の遊戯
4. Space Nekojaracy
5. パジャマ・パーティー・ナイト
6.クリームソーダLove
7. 1000%の片想い
8. 相思相愛(あら恋 remix)
9.新しい恋のうた
☆10. Falling Stars
☆11. イミシン☆かもだけど
☆12. ルートセヴンの記憶
★13. サンシャイン日本海
★14. 裸足のRainbow
★15. Summer Breeze
16. パーティーについて。
17. ネガティヴ・ガールズ!
18. ときめきのヘッドライナー
19. さよならMusic
(アンコール)
en1. 自由に
en2. 圧倒的なスタイル
(ダブルアンコール)
☆★en3. SKY

☆:長谷さんピアノ
★:小暮さんギター