今しかできない 今の君しかできない
輝くステージ 君を待っているから
(Negicco「圧倒的なスタイル」)
金沢21世紀美術館というロケーション
4月4日、Negiccoの全国ツアーも後半戦。
金沢は晴天に恵まれ、桜も満開。
先月北陸新幹線が開通し、大勢の観光客で賑わう金沢の中でも、ひときわ文化の香りのする金沢21世紀美術館が今日のNegiccoのライブの会場。
約150名、しかも全席完全着席というホールには、グランドピアノが置かれている。
アンプラグドな雰囲気で開演
17時。
ユメトコスメ・長谷泰宏のストリングアレンジのOvertureで登場した3人のメンバー。
まずは、新しいアルバムから「裸足のRainbow」。アルバムのバックトラックと同じなのに、アンプラグドな温かみのある雰囲気に包まれる。
クラップもコールも入らず、ひたすら楽曲の世界に身を委ねながら、「ルートセヴンの記憶」、そして、「相思相愛」へ。少しコールも聞こえてくるが、会場全体が沸くような雰囲気にはならず、あくまでNegiccoのボーカルを味わうようなライブ。
ここで自己紹介。
いつものようにNao☆ちゃんから。「お肌スベスベ」と言って、今日は次が続かない。「あれ?ギャクもスベスベは?」とぽんちゃが突っ込むと、「こういう場所なので、それはやめておきます(笑)」とNao☆ちゃん。
ぽんちゃは「金沢は10年くらい前に一度このメンバーで来たんですよ。実はここ21世紀美術館にも来たんですけど、当時は美術とか興味なかったんです。でも、大人になって来てみると、感性を刺激されますね」と。今はアーティスティックなセンスの良さを誇るぽんちゃだけど、以前は違ったんだね。
そして、かえぽ。「10年前に来たことは全然覚えてないんですよ。しょうがないですよね、子供でしたから。で、今回来てみると、やっぱり百万石ですね。すごいです。埼玉とは違いますね」と。いや、埼玉と比べちゃいけないです、かえぽ。
(追記。さいたま公演のときに話題になった「十万石饅頭」と比べたのではないかとの説があるようです)。
ユメトコスメ長谷泰宏が登場
ここでゲストの長谷泰宏が呼ばれ、満場の拍手に迎えられ登場。白い ワイシャツに、赤系のスカーフという洒落た出で立ち。
グランドピアノに座る長谷さん。ステージに並べられた椅子に座るメンバー。
ここからはしばらくダンスは封印。
長谷さんがメンバーとアイコンタクトして「Falling Stars」を聴かせる。
打ち込みの原曲が、アコースティック曲として新たな息吹を吹き込まれる。
Aメロのには追っかけディレイもしっかりとかかり、すごく奥行きの深い曲として現れた。
息をするのもためらわれるようなピアノのフィナーレの後、大きな拍手。シンプルな伴奏と静かな客席がNegiccoのボーカルの力量の高さを浮かび上がらせている。
続いて、流れるようなアルペジオが始まり「何の曲だろう?」と思わせてからの「サンシャイン日本海」へ。
テンションコードを多用し、スウィングするストロークは、完全にジャズの領域。
Nao☆ちゃんがサビで軽くタンバリンを入れている。
原曲のギター伴奏の雰囲気もいいけれども、ピアノの繊細なアレンジで聴く「サンシャイン日本海」は、印象派のモネの描く水面のように、いろいろな色を見せてくれるようにキラキラとしていた。
MC。長谷さんが「金沢は以前旅行に来たことがあってこの21世紀美術館に来たのだけれど、まさか自分がここに来て演奏するとは。連れて来てくれたNegiccoに感謝」と述べる。これまで5回、今回が6回目の演奏。僕は3回見たことになる。
ちなみに長谷さんが前回21世紀美術館に来たときは「Oliveの回顧展」だったそう。
次の曲は、そんなオトメな長谷さんの作品「イミシン☆かもだけど」。
この曲は落ちサビを歌うNao☆ちゃんの印象が強いのだけれども、かえぽもぽんちゃもボーカルが力強くて、ハーモニーも美しく響く。
「最高のアコースティックライブじゃないか、これ?」
そんな感動を覚えながら、Negiccoの美しいコーラスワークに身を委ねている。長谷さんのシンコペーションもカッコいい。繊細さと大胆さの切り替えがしっかりとしている長谷さんのピアノ演奏はとっても僕の好みだ。
コラボの最後の曲は「1000%の片想い」。曲調が曲調なだけに、自然と場内からクラップや歓声が沸き上がる。
そう、音楽を楽しむというのはこういうことだ。
最上級の演奏を聴かせて、ここで長谷さんが退場。
しっとりとしたまま終盤へ
Negiccoメンバーの椅子も片付けられ、再び、踊りながら歌うフォーメーションへ。
しっとりとした会場の雰囲気に合わせるように「あなたとPop With You!」から。この曲は僕がNegiccoで一番好きな曲で、あまり力を入れすぎない方が爽やかさが強調されると思っているけれども、今日の演奏にはそういう雰囲気が強く出ていた。
続けて、「クリームソーダLove」へ。この力まない感じのセトリ、最高じゃないか。僕がニューアルバムで一番好きな曲。これはかえぽから僕への私信!(いや、冗談です)
もうNegiccoにしかできない「余裕と安らぎ」の世界に誘われ、最後の曲は「パジャマ・パーティ・ナイト」!
完璧なセトリだし、もうこのまま金沢でパジャマに着替えたくなる。フワフワ眠りに落ちたい気分。素晴らしいセトリだな。コンセプトがはっきりとしているし、まったくストレスがなく、そして楽しい!
メンバーが退場した後、会場の注意事項をわきまえて控え目に「アンコール!ネギ!」のコールが起きる。
Negiccoのメンバーと長谷さんがステージに登場。「おなじみの曲ですが、今日は少し違った雰囲気で聞いてもらいたいと思います」という紹介に続いて「圧倒的なスタイル」を。もちろん、コールもラインダンスもなし。その分、メンバーのボーカルのニュアンスがよく聞こえ、歌詞が心の奥まで届いてくる。
「今の君しかできない」という歌詞を聞きながら、もしかしたら、こういうライブは今のNegiccoにしかできないかもしれないな、と思う。
アコースティックライブの魅力
11曲、1時間半弱のステージはここで終了。コンパクトであったが、内容のぎっしり詰まったライブで、僕はNegiccoの実力の高さを再認識せずにはいられなかった。
特にダンスを封印したピアノ伴奏の曲は、歌にごまかしが効かないわけだが、ごまかしどころか、Negiccoは歌だけでこんなに世界を表現できるのか、と感動させられた。一人一人の歌唱力はもちろん、3人のハーモニーのバランスも見事だった。
長谷さんの退場を見送ったNao☆ちゃんが「長谷さん、アイドルですね。長谷さんくらいのアイドルにりたい! そして、もっと音楽を聴かせられるNegiccoになりたい!」と言っていた。
そう「アーティストかアイドルか」という二分法にはあまり意味がない。音楽を聴かせてくれるようなNegiccoが僕は好きだし、それがアイドルと呼ばれようと、アーティストと呼ばれようと僕はこれからも応援していきたい。
そんなわけで、ありがとう、Negicco! ありがとう、長谷さん! そして、ありがとう金沢。これを聴くためだけに足を運んだ甲斐があった。
次は4月10日の赤坂BLITZに行く予定。
(セットリスト)
1 裸足のRainbow
2 ルートセヴンの記憶
3 相思相愛
☆4 Falling Stars
☆5 サンシャイン日本海
☆6 イミシン☆かもだけど
☆7 1000%の片想い
8 あなたとPop With You!
9 クリームソーダLove
10 パジャマ・パーティ・ナイト
(アンコール)
☆en1 圧倒的なスタイル☆長谷泰宏ピアノ
物販では乙女な長谷さんのオトメなCDを買ったよ。