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大塚家具に見る日本のコーポレートガバナンス

企業価値の下落など過酷な運命に直面するのは、社員や株主である。
親子の争いは、まず家庭で解決してほしい。
(2015年2月28日・日経新聞「春秋」)

日経、大丈夫か?っていうか、大塚家具の株価の高騰を見逃していないか?(2/27はストップ高


さて、大塚家具の経営方針をめぐって会長と社長の意見が対立している。

経営環境が激しく変化してるときに、どのように対処するかについては、複数の選択肢があり得る。最も良くないのは「何も選択しない」ことで、次に良くないのは「折衷案という名の中途半端な案」を採用することだ。

会長の成功体験による「会員制の継続」か、社長の先見の明による「カジュアル化」か。資源が潤沢にあれば、両方を別ブランドで展開するというのもあり得るが、業績が低迷している場合にはそこまでの余裕はない。

会社は株主のものであるから、重要な決定は株主総会によって行われる。役員の路線対立がある場合には、役員の選任の形で行われることが多い。大塚家具は上場企業であるから、これは各種法律や証券取引所規則に則って情報開示がなされ、判断に必要な情報が投資家・株主に提供されなければならない。

そして、株主は提供された情報を元に自らの責任において判断し、株主総会において議決権を行使する。株数によっては、株主提案を行うこともできるし、委任状を集めることで、自らの主張する案を多数決で通すこともできる。もちろん、保有する株式を売却して退出することも。

これが企業統治の仕組み、コーポレートガバナンスのあり方だ。

会長と社長がたまたま親子なだけで、「父と娘の」とか「お家騒動」とかいう家族関係に還元して人の問題に矮小化するような報道が多いが、事態の本質に全く届いていない。「人」と「意見」を分離できない日本的な視座に毒されて過ぎている。

そして、日頃「説明責任」だの「透明性」だの「グローバルスタンダード」だのという言葉を啓蒙的に使う日経新聞であっても、「親子の争いは、まず家庭で解決」などと言ってしまうくらい、この件に関してはセンスがない。他のメディアよりはいくぶんましかもしれないが。

大塚家具の路線変更をめぐる意見対立は、株主総会に向けた委任状争奪戦(プロキシファイト)の形で焦点が当てられると思うし、外国の機関投資家は、社長の合理的な方針が実現するようにさらに踏み込んだ形で意見表面を行うことも十分に予想される。

大塚家具の件は、とかく不透明であいまいになりがちな日本企業のコーポレートガバナンスに対して、一石を投じていることは間違いない。そして、どんな結論になろうとも、大塚家具をめぐる目下の経緯は、後世から見れば、2010年代における日本企業のコーポレートガバナンスの歴史に残る事例として残ると確信している。

あ、僕はもちろん社長派ですよ。。。。