ロンドンのVictria Palace Theatreでミュージカル「BILLY ELLIOT」を鑑賞した。
同名の映画のミュージカル化。邦題は「リトル・ダンサー」。
サッチャー政権の押し進めた効率化によって、地域経済、コミュニティ、家族の絆が崩壊していこうとする中で、旧来の価値観やジェンダーににとらわれることなく、自らのダンスの才能を開花させていく少年の姿を描く。
もちろん見所は、主役のBILLYの繊細な演技と、ダイナミックで美しいダンス。力ずよくも美しい連続ターンは、ダンスやバレエ好きなら魅了されること間違いなし。
ダンスシーンが目玉ではあるが、基本的には人情ドラマであり、周囲を固める無骨な脇役陣の渋い演技も見所。詳しくは書かないが、マーガレット・サッチャーも登場するので、この作品は地理的な磁場から言っても、歴史的な文脈から言っても、この作品はイギリスで見るのがベストだと思った。
主人公が踊る少年ということもあってか、観客は圧倒的に女性が多い。だが、バレエ教室の生徒としてチュチュをまとった美少女も多数出演するので、踊る少女を愛でる楽しみ方もできなくはない。
1幕、2幕にそれぞれ見せ場となる楽曲がある。エルトン・ジョンの手によるものであるだけに、ビートの強調されたロックなテイストだが、メロディや歌詞はかなり叙情的で泣かせるものだった。
個人的には2幕が終わったあと、カーテンコールのフィナーレが最高だった。
グッズ販売は、若い女性を対象にしたようなおしゃれなグッズが多数。Tシャツ
マグカップ、トートバッグなど。ブロードウェイの「WICKED」を彷彿とさせるデザイン。
僕個人は、今回は、パンフレットとCDを購入。パンフレットが6ポンド、CDが15ポンド。パンフレットの値段はなかなか良心的ではないか。
「豪華絢爛」という言葉とは対極にあるようなヒューマンドラマが中心の作品だが、
クライマックスのダンスは、アイデンティティーを踊ることで表現するようなエモーショナルなもので、ダンス好きにはたまらない作品だと思う。