永遠をつかめ―ホドラー展@国立西洋美術館

一粒の砂の中に世界を見
一輪の花に天国を見るには
君の手のひらで無限を握り
一瞬のうちに永遠をつかめ
ウィリアム・ブレイク

チューリヒ美術館展で見たホドラーが良かったので、国立西洋美術館ホドラー展に行ってきた。

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(公式サイト):

フェルディナント・ホドラー展/【東京展】2014年10月7日(火)~2015年1月12日(月・祝) 国立西洋美術館/【兵庫展】2015年1月24日(土)~4月5日(日) 兵庫県立美術館


相互割引あり、半券提示で100円引き。

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象徴主義を経て、最後には「リズム」のある作風を確立した画家。確かに、絶頂期にあるダンスの瞬間を切り取ったような大作「無限へのまなざし」は、瞬間の中に永遠を感じさせる。

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これはチューリッヒ美術館の目玉の一つであり、今回は習作中心の展示だったが、まぎれもなく彼の最高傑作の部類だと思われた。

一方で、晩年に同居していた若い愛人が病に伏して、最後には亡くなっていく過程を描いた作品も残されており、特に遺骸を描いた「バラの中の死したヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルの遺骸」。

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親しい人が亡くなったときの衝撃もあっただろうに、その筆致がどこから冷静で、それでいて、温かみをも感じさせる。

風景画もあったが、個人的には、人間を見つめるホドラーの眼差しに強く興味を引かれた。

ときに人の<生>は強い輝きを放つ。それは、舞踏の時間であったり、愛する人が自らの前に立つときであったり。だが、悠久の時間の中では、人の命は実に儚い。アート・イズ・ロング、ライフ・イズ・ショート。

画家が「瞬間」や「終焉」を描くのに固執したのは、そういた儚い人の<生>が永遠になることはなくとも、せめて<生>の証跡が永遠になってほしいという、祈るような気持ちを持っていたからかもしれない。