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パトリック・モディアノがノーベル文学賞を受賞

書籍

今年のノーベル文学賞をパトリック・モディアノが受賞した。

モディアノの代表作というと、記憶喪失の主人公が過去を探る「暗いブティック通り」になるかと思う。

「雪景色の中、幸せな日々をすごしていた恋人たちは、なぜ、突然の悲劇に引き裂かれたのか?」というこの作品は、1978年にはフランスでもっとも権威ある賞の一つであるゴンクール賞を受賞。韓国の人気ドラマ「冬のソナタ」にも、雪景色、記憶喪失、引き裂かれた恋人たちという設定を中心に、多くのインスパイアを与えた。

また、パトリス・ルコント監督によって映画化された「イヴォンヌの香り」も有名。映画の方は傑作になり損なった印象が強いが、魅力的な女性をめぐるフランスらしい三角関係から、人生の悲哀が浮かび上がる作品だと思う。

どのような作家・作品がノーベル文学賞に相応しいかという点について、科学系の賞ほど明確な基準があるわけではないが、人生の意味を根源から問うようなものが選ばれるように見える。これは僕の主観に過ぎないのだけれど。

さて、毎年この時期になると、日本人の最有力候補とされる村上春樹が、「逃す」とか「落選」とかひどい報道被害をこうむっていて、実にお気の毒だと思う。

ノーベル文学賞」は「芥川賞」でも「直木賞」でもないので、受賞を待つファンの光景とか、来年に期待する書店員のコメントとか、全然必要ない。

村上春樹の作品は多くの言語に翻訳されており、欧州の文学賞を受賞していることから、日本の他のどの作家よりもノーベル文学賞に近いところにいることは否定しないが、毎年毎年、この時期に狂想曲を奏でることにはうんざりしている。やれやれ。

ということで、来年以降は「村上春樹は受賞を逃す」という類の報道はやめてほしいな。