もう一度ここから彼女達の旅が始まる―東京女子流 4th JAPAN TOUR 2014 CONCERT*04 ~野音Again~ with 土方隆行バンド (bonsai.)

夢とか未来を目指して 走り出そうよ未来へ
もう一度ここから僕たちの旅が始まる
東京女子流「約束」)

梅雨時ながら真夏のような好天に恵まれた東京。今日は「東京女子流 4th JAPAN TOUR 2014 CONCERT*04 ~野音Again~ with 土方隆行バンド (bonsai.)。ツアーファイナルということを別にしても、野外+黄昏+生バンドと、音楽を楽しむ条件が揃って、期待のハードルも高まる。

まだ空の明るい17時30分に開演。影ナレから女子流メンバーがステージに登場。メンバーカラーを基調にしたストライプのロングスカート。手にはヒマワリ。ということで、いきなり代表曲の「ヒマワリと星屑」からスタート。会場、早くも瞬間沸騰。続いて「頑張っていつだって信じてる」から「W.M.A.D」。落ちサビで新井ひとみが「大人になんかなりたくない」って伸びやかに歌い上げるところ、歌唱力の素晴らしさもあるけど、高校生になったからか、ものすごい説得力をもって聴こえてくる。

続いて「Liar」。ここでスカートを外して投げ捨てると、下は短パン。女子流の見せ所の一つである脚線美が露わに。衣裳のおかげで、ダンスの腰を振る動きがステージに映え、モニターにも大写しになる。健康的な美しさ。そして「Don't Be Cruel」へ。

MCで自己紹介。メンバーみんな楽しそう。そして、会場との一体感が凄い。こんなに広いのに。今日は当日席まで入れると、2,500人規模の人がここに集まっているのに。

続いて、アニメ『はなかっぱ』のテーマ曲3曲ということで、「おんなじキモチ」「大切な言葉」「ちいさな奇跡」を。フリコピでステージと観客席がさらに一体になる。巧みに組まれたセトリが素晴らしい。

MC。てるてる坊主が出てきたりしてかなり面白い。特に、いまやリーダーの重圧から解放され、完全にトリックスター的な存在となって、ステージを盛り上げる山邊未夢のMCは、どこに着地しようとしているのか全く読めず、いい意味ではらはらさせてくれる。ここから「それでいいじゃん」「ふたりきり」、そして初披露曲「ずっと 忘れない。」へ。超名曲。初披露なのにボーカルもダンスも完成度が高い。

MCで「ここからはダークな曲」という紹介。バンドメンバーがいったん引っ込み、「十字架」へ。打ち込み主体の曲でバンドを引っ込めるのは潔い。メンバーのパフォーマンスは、バンドでも録音音源でも変わらず、安定している。

絶対的なセンターの新井ひとみの存在感が突出しているが、今日は他のメンバーもそれぞれに見せ場がある。小西彩乃のボーカルは絶好調の様相。山邊未夢はMCで抜群の存在感。中江友梨は女性らしいダンスを見せ、庄司芽生はリーダーシップを発揮、という具合。

再びバンドメンバーが戻ってくる。「キラリ☆」「孤独の果て」「Rock you!」と。「Rock you!」の会場の盛り上り凄い。4月のAXのときは、メンバーのテンションが高いのに、客席の方が付いていけてない感じがあったが、今日は理想形に思える。

空が暗くなってきて、観客席のピンクのペンライトが映える時間帯に。ニューアルバムから「Pain」。これ素晴らしい楽曲だな。これを生で聴けるとか最高。続いて「Limited addition」からの途中でアレンジチェンジで「Unlimited addiction Mirrorball Royal Mix」へ。この柔軟さは生バンドの魅力。もちろん、黒っぽいグル―ヴ感も素晴らしい。

そして、あぁちゃんのボーカル、本当に絶好調じゃないか。2か月前からすると、もう完全復活といっていいんじゃないかと思う。安定しているし、声に艶があるし、楽想の表現も完璧。あえて言おう、「歌姫復活」と。

太陽のように力強いひーちゃんのボーカルと、月のようにしっとりとしたあぁちゃんのボーカル。これがあれば女子流は無敵ではないか。黒くて、艶っぽくて、そしてカッコイイ。

ああ、いま僕は、世界最先端にして、世界最高のステージを見ている。そう思いながらブラックなグルーヴに身を委ねて踊っている。

続いて「運命」「鼓動の秘密」へ。これだけ新旧の有名曲を畳みかけられると、もう言うことはない。

もうあたりは真っ暗。MCで、めいてぃんから「次で最後の曲です」というところから「女子流には危機もあったけれども、それぞれが自らを見直して乗り越えた。新しい女子流をこれからも支えて欲しい」という発言。リーダーの交替を含むメンバーの役割見直しは、若いメンバーしかいないこのユニットにとって荒療治以外の何物でもないように見えたが、これだけのステージを見せつけられると、あの変更は大成功だったと思える。そして、めいてぃんは、本当にいいリーダーになった。

「約束」。サビであぁちゃんが「夢とか未来を目指して 走り出そうよ未来へ もう一度ここから僕たちの旅が始まる」と歌う。この物語性。そんな言葉で語っても語れないくらい、今日の女子流を象徴するナンバーになっているし、それがラストというところに感銘を受ける。ステージの上のスクリーンに大写しになるあぁちゃんの顔は、4月のAXのときよりもずっと自信に満ちて、ずっとずっと綺麗に見える。

メンバーが退場すると、日比谷に響き渡る「アンコール」の声。暗闇に浮かびあがるピンクのペンライト。

Tシャツ姿に着替えたメンバーがお礼を言って「Attack Hyper Beat POP」を披露。MCでバンドの紹介と告知に続いて、最後は「Killing Me Softly」をしっとりと。

デビュー前に用意された曲だが、この曲を説得力をもって歌うには、いまのようにメンバーみんなが大人の女性の顔を持つのを待つ必要があった。

期待のハードルが高まり、大勢の人を集めた野音だったが、今夜の女子流はそんな期待を軽々と超える素晴らしいステージを見せてくれた。役割の見直し以降、メンバーの意識の高まりは明確だったが、今夜ついに形となって実を結んだ。

6月15日、この日比谷野音のステージで、東京女子流は確かに次の扉を開いた。



(セットリスト)

ヒマワリと星屑
頑張っていつだって信じてる
W.M.A.D
Liar
Don't Be Cruel
(MC)
おんなじキモチ
大切な言葉
ちいさな奇跡
(MC)
それでいいじゃん
ふたりきり
ずっと 忘れない。
(MC)
十字架
(MC)
キラリ☆
孤独の果て
Rock you!
(MC)
Pain
Limited addition~Unlimited addiction Mirrorball Royal Mix
運命
鼓動の秘密
(MC)
約束
(アンコール)
Attack Hyper Beat POP
(MC)
Killing Me Softly