風雲急を告げる―『姉の結婚(7)』

不惑の四十代というけれど、本当に惑わない人なんてどれくらいいるのだろうか。むしろ惑うからこそ「惑ってはいけない」という戒めを込めて、「不惑」というレッテルを貼るのだろうと思う。

さて、惑いまくりの四十歳を描いている『姉の結婚』。


膠着状態が続いている将棋が、ふとした手から一気に展開するかのように、西炯子の『姉の結婚』も、この第7巻に来て、物語の終着点の形が姿を現してきた。

主人公のヨリと、同級生だった医師の真木の関係こそこの物語の焦点ではあるが、この作品のタイトルは「姉の結婚」。そう。これはヨリの妹のルイこそ、真の語り手なんだろう。

この物語の主題である「愛とは」「家族とは」「結婚とは」という問いに対する答を示すのは、姉とはいろいろな点で好対照をなすルイの存在そのものなのかもしれない。

個人的には、真木が「不惑であるべきだ」と自重するように諭されるのに対して、「不惑ですから…一番にしなければならないことをするのです」と答えるところに痺れた。

自分も、一番にしなければならないことをしよう、と思う。

(これまでの「姉の結婚」感想エントリー)