厨二病にはたまらん世界―『魔性の子』

十二国記」12年ぶりのオリジナル短編集が、本年7月1日発売決定ということで、『魔性の子』を読む。

ある学校で起きる不可解な事件。特定の人物と関わりを持った人が連続して死んでいく。こうした超自然的な設定やホラーな雰囲気から、綾辻行人の『Another』を思わせる。この夫婦の場合、奥さんの方が旦那に影響を与えているということかもしれない。

『Another』のラストの方は、事件が解決したのかしないのか分からないような感じであるが、本書の方は『十二国記』の世界観に従って物語が収束していき、決定的なエンディングを迎える。

まさに厨二病ど真ん中な設定であるが、病気なのは生徒の方ではなく若い先生の方かもしれない。そして、この小説を胸躍らせながら読んでいる僕のような読者が、実は一番重症なのかもしれない。さて、次は『風の海 迷宮の岸』か。

魔性の子 十二国記 (新潮文庫)

魔性の子 十二国記 (新潮文庫)