ややインパクト不足―『絶望ノート』

『葉桜の季節に君を想うということ』が面白かったので、歌野晶午の作品を続けて読む。今日は『絶望ノート』。舞台は中学校。主人公は中学二年生。いじめに端を発した事件。

物語は、主人公の書く日記の一人称と、神の視点の三人称を交互にして進んでいく。歌野晶午のことなので、どこに「騙し」があるのか、叙述トリックがあるのか、と慎重に読んでいった。前半で、ある程度、トリックについては推察することができたが、終盤で語られる真相は想像を超えていた。

それなりのサプライズを味わうことはできたが、『葉桜…』ほどのインパクトはなかったように感じた。トリックのスケールに比べると、物語がやや長くて中だるみのきらいがあることや、途中何度もジョン・レノンに関する薀蓄が登場人物によって語られることが、インパクトを薄めているように感じる。まあ、歌野晶午はもういいかな。

子供の日記モノということで読んでいて、アゴタ・クリストフの『悪童日記』を連想したが、最後まで読んで、まあ遠からずという感想。

しかし、ミステリの感想をネタバレしないで書くのは難しいな。

絶望ノート (幻冬舎文庫)

絶望ノート (幻冬舎文庫)


絶望ノート

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