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罪とか罰とか―『かぐや姫の物語』

高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を観た。

原作は「竹取物語」だが、ジブリお得意のヒロイン像に修正されている。すなわち、かぐや姫は好奇心が強く、純粋で、自己の信念を曲げない女性になっている。

現代の価値観を過去に当てはめるののは誤謬だと思うが、高畑勲はそれを恐れない。かぐや姫は、帝の権威も、都の華やかさも、物質的な豊かさも、全てを超越した価値観を持っている女性として描かれる。

このような、現実に対する批判精神はジブリの持ち味であり、マスメディアに向けた「売り文句」にもなる。ただ、純粋に物語を追求するときにはノイズになることを忘れてはならない。

全体のストーリーは原作に忠実であるが、余分なエピソードを盛り込んだせいでトータルの上映時間は2時間半くらいとなった。これは内容の割に長いと思う。子供層を映画館に呼ぼうというのであれば、せめて2時間以内にする方がいいのではないかと思う。

また、丁寧に手描きされた作画や、上手くキャスティングされた声優は「さすがジブリ・クオリティ」と思わせる。文句のないクオリティだと思う。だが、ところどころ極端にデフォルメされたキャラクターが入るのは違和感を感じるところもあった。特に月からのお迎えの描写は賛否両論かもしれない。

というような細部を除けば、総じて原作に忠実ではある。コピーの「姫の犯した罪と罰」から期待されるようなフォーカスされるわけではない。だが、70歳を超えたトップクリエーターの力作として押さえておいてよいと思う。