レ・ミゼラブル@帝国劇場

帝劇に凱旋している「レ・ミゼラブル」を鑑賞。

公式サイト:帝国劇場 ミュージカル『レ・ミゼラブル』



本日のソワレは、エポニーヌ役の平野綾の千穐楽。

本日のキャスティング。

ジャン・バルジャン:吉原光夫
ジャベール:川口竜也
エポニーヌ:平野綾
ファンテーヌ:里アンナ
コゼット:若井久美子
マリウス:原田優一
テナルディエ:KENTARO
マダム・テナルディエ:森公美子
アンジョルラス:杉山有大

吉原バルジャンは、劇団四季でのキャリアに裏打ちされた抜群の安定感。表現力の幅も広く、繊細で優しげな面も、豪快で大胆な面も見事に演じ分け。特に終盤の聖者のようになっていくバルジャンの演技に説得力があった。

川口ジャベールは、ジャベールの頑なな妄執をリアリティをもって表現していた。冒頭やや固さを感じさせるニュアンスもあったが、「スターズ/星よ」では、筋の通った「生きる信念」みたいなものが前面に出てきていて素晴らしかった。声量も圧倒的。

そして、平野エポニーヌ。キャスティングを見たときには知名度優先かとも思ったが、全くそんなことはなくエポニーヌらしい孤独を見事に表現していた。演技も力強く、二幕のソロ「オン・マイ・オウン」では、時々しゃくるような歌唱法も用いて、泣かせてくれた。

若井コゼットと原田マリウスは、技巧は申し分ないが、それ以上に、初々しいフレッシュさを感じさせるところがあって、得難い持ち味かと思う。

KENTARO&森久美子のティナルディエ夫妻はきっちりと笑わせてくれ、杉山アンジョルラスは見事に悲劇のヒーローになっていた。

そして、今回のミュージカルで最も感銘を受けたのは、アンサンブルのパワーだ。ここには名前を出さない人達が、未来の抜擢を信じながら、演技に磨きをかけて本番で全力を出していることが分かる。まるでブロードウェイの舞台のように活気に満ちていた。

演出的には、舞台奥に映像を投射する手法は有効であると感じた。特に終盤のバルジャンとジャベールが出会うあたり。刻一刻と切り替わる背景は、演技にも緊迫感をもたらしてた。

「凱旋」と銘打つだけあって、キャストの呼吸は絶妙に合っていて、オケや照明も見事。とにかく完成度もテンションも高い舞台。これは見れてよかった。

カーテンコールもいつまでも続いた。平野綾が千穐楽であると紹介され、挨拶をし始めたが、ミューカル女優ではなくアニメ声優の声になっていた。ということは、舞台の上では相当努力をしていたということだ。今日の舞台を見て、彼女のことを応援したいと思った。