未婚のプロまっしぐら―『姉の結婚(6)』

「本命になりたい」って言い出すのも覚悟がいることで、そこには高いハードルがあるけど、「本命になる」のはまたさらに別の困難が待ち受けている。

個人的に今一番面白い作品である西炯子『姉の結婚』の最新刊では、主人公のヨリと、元同級生の真木が、ともに同じトラウマを抱えていることが描かれる。それは、幼いときに、一番大切な人から愛されなかったという経験だ。

だから二人は思う。一番好きな人の本命になりたいと。そのベクトルは、本来であれば、向かい合っているはずなのに、他の人物が邪魔をして、ねじれの関係になっている。完全なる拗らせ系。


40歳で、未婚で、職業人で、自立してるヨリは、まるで「未婚のプロ」。そう、ジェーン・スーが『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』で命名した「未婚のプロ」のようだ。いや、ヨリはプロポーズされまくってはいるれども、きっと、一人の生活が気楽なんだろう。本命である真木とまっすぐに結ばれることだけがその例外だ。

ということで、終わりそうで、終わらない。ずるずると6巻まで来ている。だが、それも悪くないという、まるでリアルな人生のような作品になっている。例によって、最後の方に急展開しそうなエピソードが出てくるが、まあ、まだ終わらないだろう、きっと。

姉の結婚 6 (フラワーコミックスアルファ)

姉の結婚 6 (フラワーコミックスアルファ)