Negicco"Melody Palette"―届かないくらい遠くにいるのか、それともすごく近くにいるのか

かつて小泉今日子は「なんてったってアイドル」で「アイドルという虚構」を歌った。いまNegiccoは「アイドルばかり聴かないで」で「アイドルというパラドックス」を歌う。いま僕が聴いているのはアイドル。そして君はアイドル。でも、アイドルを聴かないでって。君はアイドルじゃなかったのか―まるでエッシャーのだまし絵のようにぐるぐると回る。いま僕はどこに立っているのか。君は届かないくらい遠くにいるのか。それともすごく近くにいるのか。

ということで、Negiccoのアルバム"Melody Palette"を買った。Negiccoの本気が分かる。そして嶺脇育夫の本気が分かる。「そんなアーティスティックで多幸感あふれるアルバム。

1. 愛のタワー・オブ・ラヴ(作詞・作曲・編曲:西寺郷太
2. あなたとPop With You!(作詞・作曲・編曲:connie)
3. アイドルばかり聴かないで(作詞・作曲・編曲:小西康陽
4. イミシン☆かもだけど(作詞・作曲・編曲:長谷泰宏(ユメトコスメ))
5. 相思相愛(作詞・作曲・編曲:tofubeats
6. 恋のEXPRESS TRAIN(作詞・作曲・編曲:connie)
7. GET IT ON!(作詞・作曲・編曲:connie)
8. ナターシア(作詞:サイプレス上野、connie 作曲・編曲:サイプレス上野とロベルト吉野、connie)
9. ルートセヴンの記憶(作詞・作曲・編曲:connie)
10. ネガティヴ・ガールズ!(作詞:Negicco & connie 作曲:connie 編曲:吉田哲人)
11. Negiccoから君へ(作詞・作曲・編曲:RAM RIDER
12. スウィート・ソウル・ネギィー(grooveman's Jack Bounce Mix) remixed by grooveman Spot (ENBULL/Jazzy Sport/TettoryBLK)
13. ニュートリノ・ラヴ(banvox remix) remixed by banvox

M-01はいきなりクラブで流れそうなクールな「愛のタワー・オブ・ラヴ」。お洒落。

M-02の「あなたとPop With You!」はconnie氏王道のダンスナンバー。打ち込みとか音の使い方が1990年頃の雰囲気を彷彿とさせる。Swing out Sistersとか最初期のDreams Come Trueとか。

M-03・キラーチューンのシングル「アイドルばかり聴かないで」で小西節炸裂。君は届かないくらい遠くにいるのか。それともすごく近くにいるのか。この浮遊感こそNegicco、この多幸感こそNegicco

M-04のストリングスのリードフレーズとピアノのバッキングは小西プロデュースのTV JESUS「1983」へのオマージュだろうが、間奏のアクロバティックなストリングスの展開はさすがユメトコスメ長谷泰宏という感じ。それにしても「ごめんいまのナシ」のフレーズに胸が痛む。

M-10はNegicco作詞・connie作曲というポップチューン。このドライブ感はThe Style Council"Shout To The Top"そのもの。これは良いオマージュ。

全体的に90年代の渋谷系およびその元ネタの音楽フレーバーを感じさせつつ、少女の輝きと危うさを最大限に引き出している。音楽好きにもアイドル好きにも勧めたいアルバム。

ちなみに、公式サイトではなんと全曲試聴できる。

Negicco公式:Negicco公式サイト|discographyCD

Melody Palette

Melody Palette