オタクにはこの夏の最高傑作―『パシフィック・リム』

庵野秀明は『ウルトラマン』を観て、『エヴァンゲリオン』を作った。ギレルモ・デル・トロは、『エヴァンゲリオン』を観て、『パシフィック・リム』を作った、と言ってもあながち外れではないだろう。

ということで、ギレルモ・デル・トロ監督の新作『パシフィック・リム』を観に行った。

太平洋からやってくる謎の怪獣(英語でも"Kaiju")を、巨大ロボットで迎撃するという設定だけでも燃える。それも二人のパイロットが搭乗し、パイロットの身体の動きとロボットの動きをシンクロさせるとか。この設定だけで、特撮ファン、アニメファンは感涙だろう。オタクにとってはこの夏の最高傑作だろう。

怪獣の造形は、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』のビジュアルを彷彿とさせるような生理的に気味の悪いデザイン。一方、ロボットの方は、どことなく素朴なテイストを残した懐かしいデザイン。だが、それがいい。これがトランスフォーマーのようにアメリカンマッチョだったら興醒めだ。

人物造形やプロットが、あまりにハリウッドの黄金方程式にはまりすぎているという批判もあろうが、そんなものを見る映画ではないのだ。香港の夜景をバックにした市街戦を見よ。大気圏を脱出して主導権を争う死闘を見よ。そして、ネタバレ回避するが、クライマックスの異常に熱い決戦を見よ!

…と、まあ手離しでべた褒めして、オタクには無条件に推したい作品である。しいて注文を付けるとすれば、音楽はもうちょっと管弦楽で盛り上げてもいいよなとか、ロボットのアクションはもうちょっとタメを効かせてもいいよな、とか、ヒロインはむしろいなくてもいいのではないか(主役はシンジとカヲルのダブルエントリー的な方がよかったのではないか)とか。まあ、女優二人が日本人なのであまり声を大にして言うことではないかもしれないけれども。

最後に、これから観に行く人のためにアドバイス。IMAX 3Dで観ることをお勧め。まるで世界の中に入り込んだような感覚になる。こういう作品こそ、大画面で鑑賞する価値があると思う。


公式サイト:大ヒット上映中! 3D/2D同時上映|映画『パシフィック・リム』公式サイト