マイクロフォーサーズシステムの総括

OLYMPUS OM-D EM-5を導入して半年以上経った。この辺で自分なりにマイクロフォーサーズの総括をしておこうと思う。

まず、ボディのOM-D EM-5。小型軽量で多機能でレスポンスの良いカメラ。特にAFのスピードと露出補正操作のスムーズさは特筆すべきレベル。ボタン設定を中心にカスタマイズできる範囲が広いので、使えば使うほどに自分に馴染む道具になっていく。

次にレンズ。

まずは広角単焦点。M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8。申し分ない描写。開放でも不満はないが、F2.8まで絞ると相当に精細な絵を生み出してくれる。購入時は、Voigtländer Nokton 17.5mm F0.95を使っていたが、ボディとのバランスが今一つであったことと、AFの素晴らしさが味わえないために、処分した。今後、基本的にAFレンズでシステムを組んでいく方針。

次に標準単焦点。これは実質的に、LEICA DG SUMMILUX 25mm F1.4の一択。フルサイズで50㎜F1.4を使っていた人であれば、画角や描写で違和感を覚えることはない。センサーサイズが小さいのでF1.4でフルサイズほどボケないが、各種収差も小さく、開放から実用的ではある。オリンパスがこの焦点距離を出さない限り、LEICAを使い続けるつもり。

次は中望遠マクロ。LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8を使用。これはオリンパスのマクロM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroと両方使って比較検討した結果、LEICAを残した。オリンパスの方は防塵防滴というメリットはあったものの、焦点距離が長目で使いにくいと感じたことと、クリアでシャープに移り過ぎて描写がやや硬いこと、妙に細長くてボディとのバランスが悪いこと、フードが別売りということなど、自分にとって「合わない」と感じる部分が多かった。フード別売りは、マクロに限らず、オリンパスのレンズ全般に共通しているのだが、あまり良い売り方とは言えないと思う。

そして、望遠単焦点は、マイクロフォーサーズきっての銘玉だと断言するM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8。これは、色乗り、コントラスト、シャープさ、どれを取っても他のレンズとは別格。「ポートレートレンズ」と銘打っているが、撮り方によってはくっきりと写りすぎてしまう気がしないでもない。キヤノンで言えばLレンズ並の写り。135mmF2Lとか200mmF2.8Lに似た感じで使える。最近ブラックが出たので、目立ち過ぎるシルバーから乗り換える機会を探っている。

なお、オリンパスの望遠単焦点で高コストパフォーマンスで評価の高いM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8については、MACRO ELMARIT 45mmと焦点距離が完全に被るので処分。猫撮りとか人物撮りにいいという評判であるが、最短が0.5mというのは現在のレンズの基準では寄れなすぎる。カフェでテーブルフォトを撮るのに席から立ち上がるとか、全くスマートではない。

最後に、超広角域では、M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mmF4.0-5.6を使っている。155gという軽量コンパクト。旅行のときにはこれを鞄の中に放り込んでおくだけで相当の安心感がある。旅先では換算28㎜くらいでは全く収まり切れない風景がある。そんなときにポケットに入れられる換算18㎜というのは便利過ぎる。気になるのは、ズームということもあり、描写が平均的なこととF値が変動することくらいか。キヤノンのF17-40mmF4Lみたいなのを出してくれるとよいのにと時々思う。パナソニックには7-14mmF4というのがあるが、あれは大きすぎるし。あるいは、単焦点で12㎜F2.0ならもっと綺麗に撮れるんだろうな、などと思うことも。ということで、超広角域はまだ遍歴をたどるかもしれない。

今回ある程度システムとしては固まった感じがしている。が、新発売となったE-P5のシャッタースピード1/8000秒というのを見ると、明るい単焦点を使う身としては、十分に食指を動かされる。また、シルバーモデルの美しさもEM-5からレベルアップしている。だが、ファインダー一体というOM-Dの構造には大いにメリットがあり単純に買い替えればよいとも思わない。早ければ年内には、EM-5に1/8000秒シャッターを搭載して各種改良がなされた次期モデルが出るであろう。それまでは様子を見ておこうと思う。