これはひどい―『スター・トレック IX 叛乱』

スター・トレックシリーズ3作目の映画。我慢強く観ていたが、どうにも盛り上がらない。劇場に足を運んでいたら「金返せ」というヤジが聞こえてきてもおかしくない、そんなレベルの作品。

エンタープライズEの艦長ピカードは、クルーのアンドロイドのデータ少佐がソーナ人との共同調査チームに参加中、突如反乱を起こしたと報告を受ける。
チームがいるバクー人の惑星へ人質救出に向かったピカードは、バクー人が不老不死の種族という驚くべき事実を知る。
ピカードの上官ダワティ提督はソーナ人の司令官ルアフォと共謀してバクー人を強制移住させ、永遠の若さの秘密を手に入れようとしていたのだった。この陰謀に気づいたピカードはすべてを捨てる覚悟でバクー人のために戦う決意をするのだった。

ピカードが自らの信念のため、提督の命令に背いて行動するということで「叛乱」なのだが、その信念が何とも共感しにくい。所詮、小さな星を巡る内輪揉めにしか感じられない。この内輪揉めのために、エンタープライズの艦長が、命を懸けるという展開に「なんだかなあ」と白けてしまう。

熱心なスター・トレックファンには「正義に大小はない」と叱られるかもしれないが、何が正義かという点についても、説得力がない。対立軸が分かりにくいことに加え、キャラデザや、演出がピンボケなので、ピカードの叛乱にあまり感情移入できない。

これは監督が悪い、と思ったら、ライカ―を演じるジョナサン・フレイクスの監督作品。役者が監督になるというのは、スター・トレックシリーズの伝統なのかもしれないけれども、全体観の中で必要とも思えない場面(ライカ―とディアナの入浴シーンなど)も目立ち、どうにも悪しき伝統であると感じられた。

TVシリーズのファンには許容範囲なんだろうが、自分のような門外漢には最初から最後まで「ついていけない」という疎外感が付きまとった。「一見さんお断り」的な敷居の高さなのかもしれないが、これでは息の長いシリーズにはなりえない。

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