すでにマンネリの感―『007 サンダーボール作戦』

007シリーズ4作目に当たる『007 サンダーボール作戦』を観た。

米ソ冷戦の世界情勢に乗じて、スペクターがNATOの核爆撃機を強奪し、イギリス政府から大金をせしめようとする。この危機に、007は事態の解決を図るため、バハマのナッソーに向かうのであった…。

本来はこの作品が映画化の第1作となる予定だったらしいが、権利関係やら、予算の都合やらで、結局、第4作目になった。冒頭に爆撃機による空中戦もあるが、この作品の目玉は終盤の水中戦。ボンドの活躍の場が水の中にまで広がるということなのだが、撮影にも相当の苦労があったに違いない。

しかし、その割には、画面で見る限り、誰が戦っているのかもわかりにくいし、水の抵抗のせいでアクションにキレが感じられない。水中撮影は難しいということがよく分かる作品になっている。

また、敵の生物兵器の一つに人食いザメが出てくる。1975年公開の『ジョーズ』に先立つこと10年。クライマックスでは、サメの恐ろしさが感じられ、設定が生かされていると思う。

前作『ゴールドフィンガー』と比べるとシリアス寄りに揺り戻した感じはあるが、設定・展開に「勝利の方程式」というべきものが出来上がっていて、すでにマンネリの感が出てきているのは否めない。

サンダーボール作戦 [Blu-ray]

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