原点―『007 ドクター・ノオ』

ダニエル・クレイグジェームズ・ボンドについて考察していたのだが、よくよく考えるとそこに至るまでの作品をじっくりと観ているわけではないことに思い至った。

ということで、一作目の『007 ドクター・ノオ』を鑑賞。

時は1962年、冷戦の真っ只中。
アメリカの要請で、月面ロケット発射を妨害する不正電波を防ぐ工作をしていたジャマイカ駐在の英国諜報部員ジョン・ストラングウェイズとその新人助手メアリーが消息を絶つ。
英国情報部「MI6」に所属するエリート諜報員「007」こと、ジェームズ・ボンドはMから、その捜査を命じられる。
CIAのフィリックス・ライターや、クォレルらと協力し、ボンドはリモートコントロールによってジャイロスコープコントロールを狂わせる装置が使用され、その発信地がジャマイカ付近である事を突き止める。
アメリカの月面ロケット打ち上げを目前に控え、ボンドはその妨害者の発見と、危機回避のため、近付く者は一人として無事に帰った事のない「ドラゴン」の伝説がある「クラブ・キー」へと乗り込むのだが……。

スパイ映画の草創期ということでだいぶ牧歌的。ショーン・コネリーのボンドもどこがセクシーかと聞かれたら「胸毛…?」という印象。銃撃戦もカーチェイスも至って普通。秘密兵器もなく、ボンドカーもない。現在の基準からすると相当に地味。予算の制約のせいか、演出が手さぐりだったせいかは分からない。

このリアルなスパイ映画は、敵の「基地」に乗り込むあたりから、どことなくファンタジー寄りになっていく。火を噴く「ドラゴン」とか。そんな中、南の海で唐突に水着の女性が出てくるシーンに、ボンドガールの原点があることだけは理解できた。

最後まで観た感想としては、放射能なめんな、というところだろうか。あまり書くといろいろとネタバレになるからぼかすけど。でも、これって『ダークナイト・ライジング』でも思ったけど。

欧米にとっては、原子力というのはもっぱら「E=mc²」的なエネルギーとして捉えられていて、放射能汚染的な側面は、ともすると忘れられやすいのかもしれない。

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