今回も正統派路線―川口春奈『haruna2』

この春高校を卒業した川口春奈の2冊目の写真集のタイトルは『haruna2』。傑作となったデビュー写真集『haruna』を撮った長野博文を再びフォトグラファーとして迎えた。版型も前作と同様で、装丁にも統一感があり、本棚で2冊並べるといい感じ。つまり、キープコンセプトだと言える。

表紙は江ノ電。鉄道少女にはセーラー服が良く似合う。表紙をめくると、セーラー服から、スクール水着、ジャージ、ブルマ、弓道着のコンボが炸裂。前作の感想では「川口春奈とはどうやっても手に入れることのできなかった理想の過去である(it could have been…川口春奈『haruna』 - SHARPのアンシャープ日記)」などと書いたが、ここでも彼女は理想の過去を体現している。まさに正統派。別の言葉で言えば、まさにオッサンホイホイ。

続くパートでは、ロケ地はいったんタイに移る。「ニッポンの美少女」というコンセプトを期待しているのになぜタイ?という感じではあるが、象に乗ってはしゃいだり、花風呂に入って微笑んだり、オイルマッサージを受けてまどろんだりする彼女の姿を見ると、これはこれでまあ良いかと思わされる。その間、数多くのビキニのカットがあり、メインの撮影目的はこちらの方なんだろうと思いつつ。

タイは夏休みという設定なんだろう。その次の舞台はまた日本に戻り、秋のすすき、そして、冬の雪。季節はめぐり、少女は大人になっていく。最後のページは、卒業証書を手にセーラー服で空をかける姿で終わっている。この写真集の刊行が2013年3月なので、実際の撮影は卒業を待たずに撮られたものであるのだけれども。この最後のパートを見ていると、僕らも卒業しなくてはならないようなどうにも感傷的な気持ちにさせられる。

ページ数は前作より増し、期待に応えるコスチュームをまとっていて、川口春奈の表情も豊かではある。しかし、あまりに予定調和的、キープコンセプトすぎて、いささか拍子抜けしないでもない。だが、この安定感、あるいは正統派な路線こそが、川口春奈に対して僕らが求めているものなんだろうと思う

川口春奈 写真集 『 haruna2 』

川口春奈 写真集 『 haruna2 』