コトリノトリコ−川島小鳥『トリコ』

川島小鳥の写真集『トリコ』を買った。テーマは「東京＝少女」。『B.L.T.』の連載に新作を追加しているもの。箕浦建太郎の絵も11点収録されている。このコラボは、今年の成海璃子カレンダー等でもおなじみのコンビ。フィルム的というかアナログ的な「温かさ」を感じさせる世界観で、実に絶妙の二人だと思う。

今回掲載されているのは以下の通り。

未来穂香、刈谷友衣子、岡崎歩美、藤原令子、阿部菜渚美、重本ことり、加藤梨里香、夏緒、青山奈桜、広瀬すず、杉咲花

未来穂香の表紙からして思春期の複雑な心理を滲ませているようで素晴らしい。また、個人的には広瀬すずのおでこを大胆に見せるショットに萌え死んだ。だが、誰がどうとかいちいち野暮な品評をしたくなくなるほど、全体を見事な統一感が貫いている。どのページからも、カメラを構えている川島小鳥の目線の「優しさ」が伝わってくるようだ。こんな写真が撮れたらいいなと本気で思う。これは『BABY BABY』のときから感じていることだけれども。

少女が僕を見つめている。いや、それは錯覚だ。実際に彼女が見つめているのは、川島小鳥の持っているカメラのレンズなのだから。だが、そうと感じさせない不思議な臨場感が彼の写真にはある。ページをめくると、少女の透き通った瞳のトリコになると同時に、川島小鳥の温かいまなざしのトリコになっていく。そんな写真集。

川島小鳥写真集「トリコ」 (TOKYO NEWS MOOK 327号)