SONY NEXシリーズについて

SONY NEXシリーズに6が加わった。カメラとしての完成度を高める方向への進化だと思われるので、改めて検討することにした。
そもそも、2010年にNEXシリーズがリリースされたときにの自分の評価を振り返る。

○ APS-Cサイズならでは描写性能(高感度、ボケ)。
× 内蔵フラッシュなし。小さすぎるボディはレンズとのバランス悪い。タッチパネル中心の操作性。
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レンズが大きい事に加えて、ダイヤル類が少なくて操作性が悪いことが、自分にとっては決定的な欠点であった。

では、今年になってNEX-7がリリースされたときにはどう評価したか。

○:新しいカタチ。進化した操作性。サクサクした挙動。
×:純正単焦点のラインナップ不足。Sonnar T* E 24mm F1.8 ZAが入手困難。高画素数と高感度のバランスが画素数に寄り過ぎ。
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レンズが少ないこと、画素数が多すぎることが、他機種に比べたときのウィークポイントであった。

さて、NEX-6はどうか。

まず、操作性は大幅に改善した。初代のタッチパネル中心から宗旨変えをしたかのように、ダイヤル中心の操作になった。そして、NEX-7のようにダイヤルを左右に並べるタイプからさらに進化。上面にモードダイヤルと同軸ダイヤル、背面にダイヤル。これで直感的にかつ迅速な操作が可能になった。

次に画素数。現在のAPS-Cのセンサーサイズで標準と思われる1600万画素とすることによって、精細感と高感度耐性をベストバランスで両立。数値上のスペックを追い求める向きにはアピールしにくくなったが、これはこれで「通好み」だと思う。

そして、キットレンズ。ぐっと短く軽くなった。描写はともかく、ボディとのバランスという点で好ましい改善だ。フラッシュ接点が汎用性の高いタイプに変わったことも含めて、ユーザーの要望を地道に拾い上げて反映した「改良」であると評価できる。

では、NEX-6は「買い」か。自分にとっては残念ながら「NO」だ。

まず、ダイヤルでの操作性は相当に改善したものの、なぜかタッチパネルの機能は省略され、WiFi接続等での操作は下位モデルに劣っている。来るべきNEX-7後継機との差別化というお家の事情もあるのかもしれないが、ユーザーの立場からはこういう「出し惜しみ」は理解に苦しむ。

そして何といっても、Eマウントに魅力的な単焦点レンズがないことが致命的。18mmは薄さ優先で描写は並。24mmは入手困難。35mmはアナウンスはされたものの発売時期未定。30mmマクロは、35mmのリリースがアナウンスされた後では手を出しにくい。50mmは風景やスナップでは使いにくい。この焦点距離でマクロなら良かったのに。

もちろんSONYのEマウントにこだわらないのであれば、シグマを使ったり、アダプタ経由で別マウントを使えばよいが、それならNEXを選ぶ必然性は希薄になる。

結局のところ、レンズも含めたシステムとしては相変わらず未完成だといわざるを得ない。SONYの中では、α99のようなフルサイズデジタル一眼レフもあり、RXシリーズのような高級コンデジもあることは理解できるものの、どこまで本気でNEXを売る気があるのだろうか。ツァイス35mmを付けたRX1を量産する中で、Eマウントのツァイス24mmの供給を後回しにしているのではないかと疑わざるを得ない。「NEXをやめてRX1へ」のような動きは、ソニーにとって短期的には痛手にはならないかもしれないが、NEXというシステムにとっては長期的にはマイナスとなる。このような状態でNEX-6を買うのは時期尚早であると判断せざるを得ない。