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ツタンカーメン展@上野の森美術館

アート

いまや国民的イベントにまで肥大しつつある「ツタンカーメン展」に行ってきた。

公式サイト:KINGTUT ツタンカーメン展 〜黄金の秘宝と少年王の真実〜 - Tutankhamun and The Golden Age of The Pharaohs - フジテレビ

まず思ったのは、ここは美術館というよりも、テーマパークに近いということ。入場料3,000円。受付での整理券発行。作品展示前のTV観賞タイム。学芸員の不在。そして妙に充実した「お土産」コーナー。考えるまでもなく、ここはフジサンケイグループの所有物。イベントスペースの一種なのだ。

料金が高いだの、混んでるだの、黄金のマスクが展示されていないだのという評価も耳にする。この展覧会を積極的に擁護する気にはなれないが、どれも仕方のないものばかりだ。

まず値段。日本にいながらこれだけのエジプトの宝物をまとめて見ることができる機会はそうそうない。次に混雑。評判が評判を呼んで人が集まるのは、むしろ見るだけの価値があることを証左だ。そして黄金のマスク。主催者の力量と関係なく、エジプト政府の方針として持ち出し不可ということ。どうしても見たいのであれば、エジプトまで行くしかない。いや、そこまで行かずとも、イギリス・フランス・アメリカあたりの大型美術館に行けば、エジプト文明の遺産を観賞することは可能だろうが。

それらと比べると、今回のツタンカーメン展はスケールこそ小さいものの、122点と相応の点数が展示されている。じっくり観れば1時間では足りない。個人的に見どころだと感じたのは、チューヤの人型棺、ツタンカーメンの半身像、ライオンの飾りのついた化粧容器、そしてクライマックスとなるのは、ツタンカーメンの棺型カノポス容器。

3,000年以上の時を超えた輝きを目の当たりにして、ツタンカーメンの墓を発見した考古学者ハワード・カーターの驚きと興奮に思いを馳せる。こんなにエキサイティングな体験はなかなか得られない。

料金は高く、混んでいて、黄金のマスクはない。そして、学芸員のいない会場で人の流れの誘導だけは整斉と行なわれている。まさにイベント会場。だが、それでも、見るに値する展示であったと言えるし、未見の人がいれば「TV局主催の素人向けイベント」などと斜に構えることなくこの機会を利用したらいいと思う。