『さよなら絶望先生』の最終巻となる第30集を読んだ。社会の胡散臭いあれこれをブラックな「毒」で風刺するのがこの作品の魅力であった。だが、近年は、どうも現実の社会の胡散臭さの方が、コミックの「毒」で批判できる射程距離のはるか先に行ってしまったような気がする。マンネリに陥ったというよりも、時代の変化が急すぎて作品の輝きが褪せてきたという方が近い。
アニメで三期まで製作されたこの人気作品が幕を閉じるのは残念ではあるが、ある種の「必然」であると受け止めている。だが、この作品が幕を閉じるには、二つの点にオチをつける必要があった。
まずは、ヒロイン(と言ってもいいであろう)風浦可符香の正体。この点は300話「私たちの知っている可符香ちゃんは天使みたいないい子でした」で、明かされた。タイトルの元ネタはもちろん『人間失格』の一節だが、太宰治的な展開というよりも、ミステリー的なオチだったと言える(ネタバレ回避のため詳細は記さずにおく)。
もうひとつは「誰エンドなのか」という問題。一人の主人公(男)に対して、大勢のクラスメイト(女)というハーレム設定から、最後に誰と結ばれるのか。「可符香エンド」となるのか「千里エンド」となるのか、それとも…という下世話な期待が膨らんでいたが、この辺も一筋縄でいかないのが、久米田康治の久米田康治たるところ。最終話「さよなら絶望先生」では、「なんとそう来たか」というエンディング。いや、これはこれで嫌いではない。
いずれにしても、最後の最後はきれいに終わったと思う。「一つの可能性としての第30X話」はやや謎だけれども(というか、このエピソードは江戸川乱歩風味であるが)。
それにしても、終盤にかけて藤吉さんはしり上がりに存在感を増したな。眼鏡好きにとってはたまらん傾向だった。
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ということで、久米田先生の次回作に(ry
というか、久米田康治の毒を味わうには当分は「じょしらく」を観るしかないのだろう。
♪ッチン、ットン、チントンシャン!
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