「学べるヨーロッパ美術の400年」という副題に相応しい「ためになる」展覧会だった。「大エルミタージュ美術館」とほぼ同じコンセプトでありながら、こちらの方がより「カトリック世界→宗教改革→ルネッサンス→近代」という西欧の歴史の流れに沿った展示になっていると思う。
公式サイト;公式「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」東京・福岡にて開催!
「大エルミタージュ」も「ベルリン」も真面目で啓蒙的な展示であるが、「目玉作品」のインパクトが勝負を分けている感じがする。「大エルミタージュ」がマティスなのに対して、「ベルリン」はフェルメール。
ベルリンのフェルメールは「真珠の首飾りの少女」。時を同じくして上野に来ている「真珠の耳飾りの少女」と比べると、少女の表情が分かりにくいが、いわゆる「光の魔術師」としてのフェルメールのスタイルという点では、「首飾り」の方が王道のように思われる。まして「首飾り」の方は日本初来日。絵の前は文字通り黒山の人だかりだが、見ておくべきはむしろこっちの方かもしれない。
他にはレンブラントの作品もあり、フェルメールを除けば全体的に派手さはないものの、西洋絵画史を鳥瞰するような懐の深い展示を堪能することができる。今年、日本で見た展覧会の中でも、ベストになってもおかしくない。
以下自分用の備忘録。いままで見たフェルメール作品は19点。ようやく半分越えか。
- 「ディアナとニンフたち」(マウリッツハイス美術館)
- 「眠る女」(メトロポリタン美術館)
- 「士官と笑う娘」(フリック・コレクション)
- 「中断された音楽の稽古」(フリック・コレクション)
- 「手紙を読む青衣の女」(アムステルダム国立美術館)
- 「水差しを持つ女」(メトロポリタン美術館)
- 「リュートを調弦する少女」(メトロポリタン美術館)
- 「真珠の首飾りの少女」(ベルリン絵画館)
- 「手紙を書く女」(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)
- 「真珠の耳飾りの少女」(マウリッツハイス美術館)
- 「少女」(メトロポリタン美術館)
- 「婦人と召使」(フリック・コレクション)
- 「天文学者」(ルーヴル美術館)
- 「地理学者」(シュテーデル美術館)
- 「レースを編む女」(ルーヴル美術館)
- 「手紙を書く女と召使い」(アイルランド国立絵画館)
- 「信仰の寓意」(メトロポリタン美術館)
- 「ヴァージナルの前に立つ女」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)
- 「ヴァージナルの前に座る女」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)