ZEROからstay nightへ―『Fate/ZERO』25話

綺礼の戦いのクライマックスで、切嗣は聖杯と対話する。切嗣の実現したい世界は何か。そのために聖杯をどう扱うべきか。切嗣にとっての正義は「最大多数の最大幸福」という功利主義であり、その行く末が聖杯自体をなきものにすることに行き着くのだ。

セイバーは令呪をもってその破壊を命ぜられる。これが第四次聖杯戦争の終結だ。夢は消え去り、犠牲が残り、幸せになったものは誰もいない。切嗣にとって唯一の希望は、養子に迎えた士郎の存在だった。こうして物語は『Fate/stay night』につながっていく。やがてはこの士郎が衛宮を継ぐものとして、再びセイバーを召喚して、彼女のマスターになるのだから。

こうして、最終話としては無難にまとまったと思う。カタルシスと同時に、放送が終わることの喪失感を覚えるばかりだ。最後に物語の語り部としてのウェイバーにもう少し焦点が当たるかと思ったが、士郎こそが次の聖杯戦争の中心的な存在となるのだから、それはやむを得ないと思う。となると、24話での駆け足だけが残念だということになるが、総じて壮大な原作を上手くアニメにしてくれた。あおきえい監督と制作のufotableに賛辞を述べたい。素晴らしいアニメ化をありがとう、と。