娯楽大作の王道―『シャーロック・ホームズ』

昨日の『いつか晴れた日に』も19世紀イギリスだったが、同じ19世紀イギリスでもロンドンという都市はここまでダークなのか―

近代化が進んで価値観が混迷する中、まるで救世主のように出現したブラックウッド卿が、暗雲の垂れ篭めるロンドンに暗い影を落とす。人が死ぬ場面に登場する、カラスが実に不気味。

ホームズ役のロバート・ダウニーJrの演技は、軽妙で冴えている。ジェレミー・ブレットの知的なイメージとは対極にあるワイルドなホームズだが、原作小説の「奇人」的な面を強調した解釈と捉えられないこともない。だが、あの飄々とした感じは、ロンドンの紳士というよりは、むしろニューヨークの伊達男の方だろう。ウホッ、いい(ry

一方のワトソン役のジュード・ロウは、控えめでちょっと皮肉屋なところがいかにもイギリス人。ホームズの奇行にあきれながらも、事件の推理において圧倒的な頭脳を示すホームズの才能をリスペクトしている様が描かれていてよい。また、ワトソン自身も、事件の解決に向けてまるで「相棒」であるかのように一緒に活動ところが格好いい。腕っぷしも強い。やらないk(ry

この主役二人の魅力に比べれば女性の描かれ方は弱いが、それでもアイリーンの悪女っぷりは目が離せないくらい魅力的。『ルパンIII世』の峰不二子のように、裏切ると分かっていても騙されてしまうのだろう、こういうキャラクターには。

ストーリー自体は、娯楽大作の王道。ホームズの宿敵のモリアーティ教授も暗躍。エンディングは次回作にも繋がるようになっていて、いま公開中の『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』にスムーズに入れるような内容になっていたと思う。3作目の制作も決まっていて、押しも押されぬドル箱的作品。

シャーロック・ホームズ [Blu-ray]

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