知らない天井だ

日経ビジネスの記事でこんなのがあった。

突然、目が覚めたら一度も訪れたことがない部屋にいました。調度品を見ると、どうも日本の部屋ではないようです。知らないうちに海外に連れてこられたのでしょうか。目の前の机に、大型バッテリーが100%充電済みのノートパソコンとWiFiが置いてあります。電話は見当たりません。腕時計代わりの携帯電話も財布も無くなっています。部屋に窓はありませんがドアは開いています。聞こえてくる音からすると周囲は繁華街のようです。

あなたはまず、どうしますか?
もし知らない部屋で目覚めたら:日経ビジネスオンライン

さて、選択肢は以下の4つ。

パソコンからクラウドにつなぎ家族にビデオメッセージを送る
パソコンからクラウドにつなぎ会社の同僚に電子メールを送る
部屋の外に出てみる
悪い夢だと思って寝直す

おいおい。大丈夫か、日経ビジネス。(「WiFiが置いてあります」というのが意味不明なのはとりあえず不問として)

知らないうちに海外らしきところに連れてこられていて、しかも、携帯も財布もなくなっているとなると、普通の事態ではない。これは誰かの「意図」によるものだ。こんな状況で試されているのは、ITスキルなんていう生易しいものではない。危機管理能力だ。

記憶も失われ、所持品も失われている。そんな中で、あなたがさらに何かを奪われるとすれば、それは「情報」だ。誰のだかも分からないPCに、いきなり家族の情報や会社の情報を入れるか? それこそまさにこの事態を生み出した誰かの思うつぼだ。

「ITを使い倒す」という特集だということで、TwitterにつなぐとかFacebookにつなぐ(キリッ)みたいなコメントもあった。一体それで何が分かるかを別にしても、その結果、あなたはアカウントも奪われる可能性が高い。それでいいのか。自ら罠にはまりに行くようなものだ。

かといって、何も考えずに部屋の外に出ることもリスクが高いし、単に寝直すのは無用心。ということで、もし自分なら「寝ている振りをして様子を探る(あるいは誰かが来るのを待つ)」のではないかと思う。