電通が美オタ(笑)をゴリ押し

電通が「オタクがラブなもの研究所」を発足させた。即日、電通嫌悪的なコメントがネットにあふれかえったが、第一回のレポートを見る限り、ピントを外しているように思われ、オタクが電通のマーケティングにコントロールされることを懸念する必要はないように思える。

…昨秋に実施した第一回「オタクが好きなもの」調査では、オタクコンテンツだけでなく、ファッションやビューティー領域のトレンドにも高感度な「女性オタク」層の存在が明らかになりました。この層は一般の女性よりもファッション誌やビューティー誌の閲読率が高く、世の中のトレンドに対しても敏感で、美しいものに対する意識が高い一方、アニメを中心としたオタクコンテンツに関する知識も豊富で、興味・関心も高いという特徴があります。
電通「オタクがラブなもの研究所」では、従来のイメージとは異なるこの「ビューティー感度の高い女性オタク層」を「美オタ」と名付けました。彼女たちは一般的な女性オタク層に比べ、男性向け恋愛シュミレーションゲームや女性アイドルなど 「かわいい女の子」への関心が高く、ファッションでは、独自のアイテムも取り入れながら、「オタクかわいい」を楽しんでいます。

オタクには男性も女性もいるが、その中から女性の一部を取り上げて「美オタ」として区別して持ち上げるところに、そこはかとない「電通臭」が漂っている。っていうか、「美オタ」っていう言葉を流行らせようとしていないか。失笑を禁じ得ないレベル。最後に「(笑)」を付けたくなるネーミング。まさにゴリ押しの典型。個人的には、「オタク」のマスマーケットである男性を取りこぼしているこの段階で、第一回の調査レポートとしては落第だと思う。

さて、では、今後この研究所は何を研究していくのだろうか。今回のレポートによれば以下の4つだ。

  1. 定期的なトレンド観測調査
  2. 有識者ネットワークの構築・活用
  3. アニメ等オリジナルコンテンツの制作・開発・情報発信
  4. オタクが好きなものの知見を活用した商品・サービスの開発

1は毒にも薬にもならないレポートが出るだけだろうし、2は研究所の名刺をもって有名人に会いにいくという電通の自尊心を満たすだけの話だろう。3は電通がゴリ押しするコンテンツにはオタクがそっぽ向くので失敗に終わる。オタク的には「メシウマ」になるだけ。

で、オタクにとって本当に気を付けないといけないのは、4だと思う。「オタクが好きなものの知見を活用した商品・サービスの開発」って、電通が本当に以下のようなマーケティング攻勢をかけたらけっこう騙されてしまうのではないか。

・限定版
・初回特典
・非売品
・全○種からランダム封入
・○枚集めたら特典をプレゼント

どこかのアイドルグループの握手券が可愛く思えるようなビジネスチャンスが、そこにはある。もちろん、一部は既にコンビニやDVD/BDや劇場映画で成功している実績のあるものばかりだ。

まあ、研究所が「美オタ(笑)」に目を奪われている間は、こっちの方はまず大丈夫だと思う。ちなみに、研究所のロゴマークも相当にかわいくない。外している。「いまいち萌えない娘」どころじゃないわ、ありゃ。