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別れを告げに

旅行 写真

パリ5日目。雪が積もっている。メトロでモンパルナスへ。滑らないように歩幅を小さくして歩く人々。ル・ドームとラ・ロトンドのどっちで朝食を食べようか考えて、成海璃子の入っていたル・ドームの方を選ぶ(そればっかり)。クロワッサン、フランスパン、パティスリー、そして、オレンジジュースとカフェオレ。これで10フラン。サロン・ド・テよりもこっちの方がパンが美味しく感じてしまった。これはおすすめ。

モンパルナス・タワーを見上げながら少し散歩し、メトロに乗って開館直後のルーブル美術館へ。今回の旅行中に2度目。日本語の音声ガイドも借りたが、まずは小池寿子のガイド本に沿ってイタリア・スペイン絵画、そしてフランス絵画の大作をじっくりと鑑賞。ときどき気になった音声ガイドの作品も鑑賞しつつ、ゴール(小池寿子本的な意味で)。

この時点で午前11時半。音声ガイドに「おすすめコース」というのがあるので、試しに「イタリア美術・2時間30分コース」を選ぶ。地下の彫刻から始まり、途中なぜかフランスの作品も迂回させられて、ゴールしたらなんと4時間を優に経過していた。ルーブル恐るべし。気付いたら入館から6時間経過。今日が2度目なのに。いや、少々、周辺の作品にも寄り道したけれど。

ここで一息入れるために軽く食事を取りつつ考える。残された時間をどうしよう。そうだ。気に入った作品に別れを告げに行こう。16時にスタートして、オルセー、オランジュリー、ルーブル、ポンピドゥーセンターの4大美術館(と勝手に命名)を廻ることに決める。

まずはオルセー。徒歩10分で到着。さっと入れてお金も取られないのは、ミュージアム・パスの威力。Ernest Hebertの"Jeune lavandiere songeuse ou La Lavandara"にさよなら。何ども言うけど、この作品は図録にも載っていないし、ポストカードも売っていない。どこにもないなら、こうするしかないじゃない!

続いてオランジュリーへ。こちらも徒歩10分で到着。まずはマネの睡蓮を見る。何度見ても飽きない。というか、これを見るときに、人は自分自身と対話しているのだろう。あるいは神との対話かもしれない。龍安寺の石庭を見ているときのように宇宙と一体となる感覚に襲われる。と、ここで本来の目的を思い出し、地下へ。アンドレ・ドランの「画家の姪」にさよなら。この時点でもう5時30分くらい。

チュイルリー公園を横断して再びルーブルへ。途中美しい光景と可笑しな光景に出くわす(写真は最後に)。15分で到着。通常ならこの時点でアウトだが、本日は夜間まで開館している日なので問題ない。さて、誰にさよならを言いにきたんだっけ? さっきイタリアを堪能したので、最後はフランスだ。ということで、リシュリュー翼へ。いろいろ見るが、まあ、シャセリオーの「エステルの化粧」にさよなら(我ながらかなり適当だ)。

ここでFnacにも立ち寄る。思い残すことがないようにするために、僕はアレをお土産に買わなければない。ということで、MANGAコーナーに直行。『初恋限定。』のDVD-BOXを購入。49.70ユーロ。何やってんだ俺… 今夜の晩飯は節約しよう。ちなみに、PAL方式のため日本の普通のプレーヤーでは見れないものの、リージョン・コードが同じなので、PCでは問題なく見れるという情報を確認。MANGA万歳。

最後にポンピドゥー・センターへ。今回3回目。一気に5階を目指し、バルテュスの「Alice」にさよなら。お前が、いや、お前たちが、俺の翼だぁー!

ということで、今夜がパリ最後の夜。一言雑感を述べると、以前よりも観光客に優しい街になったと思う。象徴的だったのは凱旋門に乗り入れたときのメトロ1号線のアナウンス。「なんとかかんとか」というフランス語のあとに(すみません、僕のフランス語の能力なんてその程度です)、"Please mind the gap between the train and the platform"との音声。ここで「おお!」と感動していたら、続いて「足元にご注意下さい」というスムーズな日本語のナレーション。もちろん、全部録音なんだけど。

ユーロの通貨統合を経て、ヒト・モノ・カネが自由に行き交うようになった欧州。そこで自国に観光客を惹きつけるには何が必要かということを研究した結果だと思う。最近は国内の景気も悪く、金融システムの不安も取りざたされている中で、観光立国の座を確実なものにしようというのはよく考えられた国家戦略だと思う。

さて、明日は移動日。午前中にはロンドンに着いている予定。ユーロは使えず、今度はポンドの出番。

チュイルリー公園の眺めに、最終日の寂しさが重なった。

ルーブルの窓から誰かが身を乗り出している。こっち見んな。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYMPUS XZ-1)