『スター・ウォ−ズ』と『ハリー・ポッター』に見る神話的構造

(『スター・ウォーズ』と『ハリー・ポッター』神話的構造について、備忘録的に。今回は両者の共通的に焦点を絞る。)

「少年」は夢見る。叔父夫婦に育てられながら。この日常でないどこかにいる自分を。

その夢はある日突然叶う。自分に特別な力があると告げられる。そして、よりふさわしい場所に行って、その力を磨くようにと―

両親のいない「少年」は「師」と出会う。そして「友」と出会う。それから「異性」とも。その「異性」は淡い恋の対象かもしれない。あるいは、性別を超えた「仲間」なのかもしれない。「異性」はときに反発しあいながらも「友」の方と結ばれるのかもしれない。

「少年」は試練を潜り抜ける。ときに傷つきながらも、小さな「栄光」を勝ち取る。彼はそうして周囲から認められる存在になる。だが、これは彼の努力によるものだけではない。もともと「少年」はそうなる運命だったのだ。

運命。そうだ。最終的には「少年」は「敵」に立ち向かわなくてはならない。世界を闇の力で支配する強大な「敵」に。「敵」には、やはり強い力を持つ「片腕」がいて、容易には近付けない。あまりに強大ゆえ、「師」でさえも「敵」を倒すことはできない。

「少年」は「師」の指導により特別な力を伸ばす。仲間を増やす。「敵」に立ち向かおうとする中で、「少年」は「師」を失う。だが、決して彼はくじけない。自分の命を懸けても「敵」を倒して、この世界の闇を追い払おうとする。

無敵に見える「敵」。彼を倒すことは「少年」にとって「親」を乗り越えるに等しい。「親」を乗り越えることは容易ではない。高い壁だ。

だが、最終決戦を前に「片腕」が「敵」に背中を向ける。「片腕」は「少年」に立ちふさがる存在のように見えていたのだが、実はそうではなかったのだ。「片腕」は「敵」を裏切り、命を失う。だが、それと引き換えに「少年」は「敵」に勝利するのだ。

闇は追い払われ、世界に光が戻る。「友」は「異性」と結ばれる。「少年」は救世主であったのだ。こうしてこの世界ができた―

これが「神話の構造」だ。

(明らかに相違する点、父親・母親のそれぞれの存在感の相違については、また別の機会に書きたい。)