大文字の「物語」―『魔法少女まどか☆マギカ』最終回

終わった。『魔法少女まどか☆マギカ』が。満足感の高い良作だった。こういう作品が出るからアニメ鑑賞はやめられない。以下ネタバレ注意。

ラストは虚淵テイスト満載。歴史上の偉人女性(描写からクレオパトラ、卑弥呼、ジャンヌダルクに見えた)が、いずれも魔法少女・魔女であったことが示唆されるとか、まどかが最後は救世主から神のような存在になってしまうとか、想像を越えたスケールの大きな大文字の「物語」だった。究極のセカイ系。個人的にはもう少しパーソナルなレベルの小文字の「物語」にも関心があったのだが、これはこれで広げた風呂敷のたたみ方としてはあり。では、個人的な予想はどこまで当たったのか検証。反省会。

まず、第9話視聴後の3月6日付予想。

終盤でまどかはほむらのとの「前世」を思い出す。どちらかが瀕死になった状況で。そこで二人の思いが通じ、まどかはこの世界を守るためにこそ、自分の能力を使うことを決意する。魔法少女になるのではなく。その決意により、ループする時間は終わり、キュゥべえの野望も砕かれる。彼女たちは、平凡な日常を守るという選択肢を取るのだ。自分の願いは叶わないかもしれない。だが、それでいいと二人は思う。

ループからの脱出で時間が遡り、マミさんも、さやかも、杏子も生き返る。もちろん戦いの記憶などなく。この戦いに勝者はいない。いや、最初から「勝つ」ことなど必要なかったのだ。「願いを叶える」ことなど望んではいけなかったのだ。脱出後、まどかとほむらの二人の記憶も完全に消える。何事もなかったかのように。彼女たちはカフェですれ違う。お互いに何かを感じながらも言葉を交わすことはなく―というようなラストを予想。
交わした約束忘れないよ〜『魔法少女まどか☆マギカ』最終回予想 - Sharpのアンシャープ日記

戻ってきたのは人間としてのまどかのいない世界だった。そして、ほむらの記憶は消えなかった。その2点を除けば、結構、いい線行っていたではないか。自画自賛だけど。

次に、ネット配信の第10話視聴後の3月16日付予想。

最終回Aパート。まどかとほむらは「ワルプルギスの夜」に立ち向かう。もう何度目かのループだ。敵を倒すことが勝利でないことは分かっている。試していない選択肢はもう一つしかない。まどかとほむらが力を合わせて、この世界そのものを変えることだ。まどかもほむらも、それがお互い永遠の別れを意味することを理解する。まどかはためらう。泣きじゃくる。「ほむらちゃんと別れるくらいなら世界が終わってもいい」と。だが、冷たい態度で彼女を突き放すほむら。もうそれしかないのだ。最終的に二人は泣きながら手をつないで、心を一つにして願う。別の世界を。時空のゆがみに吹き飛ばされそうになっても手を離さず。ワルプルギスの夜は消滅していく。キュゥべえも。相転移エネルギーを集めるシステムも。すべて破壊される。そして―

最終回Bパート。元の平和な世界。まどかは、魔法使いのことも、魔女のことも、キュゥべえのこともすべて忘れている。さやかもマミも杏子もそこ世界に生きている。ごく普通の少女として。単なる友達同士として。戦いの記憶もなく。平穏だが、退屈な日々。何か特別な願いが叶うわけではない。奇跡も魔法もないんだよ、この世界には。一つの例外を除いて。 この世界を復元したのは、ほむらだ。彼女の願いが奇跡を起こした。最後の魔法を使って。でも、そのことを誰も知らない。この世界では。まどかでさえも。すべて忘れてしまった。まどかはふと見慣れないアクセサリーを見つける。何だろう。誰のだろう。まるで、思い出せない。ただ、どうしようもなく涙だけが流れてくる。なぜ。世界は平和なのに、なぜ泣けるんだろう。家族での朝食。お母さん「夢でも見たのよ。現実に戻りましょう。退屈で平凡だけど、それでいいじゃない」。まどか、何気なくアクセサリーを身につけてみる。なぜか黒髪の少女のシルエットが思い浮かぶ。でも、何も思い出せない。ただ、なぜだか幸せな気持ちに満たされる。Fin。
ほむらの等価交換―まどマギ10話を観て - Sharpのアンシャープ日記

10話を観たあとなので、ほむら寄りに修正してしまったかな。まどかがあくまで主人公である「物語」であることを見失ってしまった。反省。

震災の影響で放映が中止されていたのが、最終回まで一気に視聴できたのは良かったと思う。ただ、中止の期間にいろいろと妄想エンディングが沸いてきて、期待のハードルが上がってしまったことは否めない。この作品にとっては、毎週放送される勢いを保って最終回を迎えた方がよかったのではないか。僕にとってもその方がラストの説得力が高くなったように思う。それでもいい作品だった。いまどき珍しい大文字の「物語」だった。ありがとう。虚淵玄蒼樹うめ新房昭之、シャフト。ありがとう。

しかし、エンドカード、神だな。杏子かわいいよ杏子。