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岡村ピコ良かった―『夢から醒めた夢』

演劇

たまには日本でもミュージカルを。それも日本オリジナルのものを。ということで、2009年からほぼ2年ぶりの公演となる劇団四季『夢から醒めた夢』の二日目を観に行った。

公式サイト:夢から醒めた夢作品紹介|劇団四季

内容は赤川次郎原作の有名な作品なのであえて書くことはない。注目はキャスティング。

ピコ:岡村美南
マコ:苫田亜沙子
マコの母:早水小夜子
メソ:藤原大輔
デビル:川原洋一郎
エンジェル:川島創
ヤクザ:野中万寿夫
暴走族:西尾健治
部長:田中廣臣
老人:高橋征郎
老婦人:佐和由梨
夢の配達人:道口瑞之

ということで、今回のキャスティングを中心に備忘録的に記録しておく。

主人公のピコは今回が初となる岡村美南。天真爛漫なキャラクターは見ていて勇気を与えられる。ダンスは申し分ないキレで、歌唱力も十分。声が伸びていて変なクセがないので、安心して聴いていられる。マコとの二重唱も素晴らしい出来。マコよりもメソよりも背が高いピコで、しばしば屈んで演技しているが、それも違和感を持つほどではない。個人的には保坂知寿の小柄なピコがベストと思うが、岡村ピコも全体的な雰囲気は少女らしさをもっていて好感が持てる。

マコは2009年に続き苫田亜沙子。『WICKED』のグリンダ役でのコミカルな演技にファンの多い苫田だが、『夢醒め』ではシリアスな場面ばかり。それゆえに、抜群の歌唱力が目立った。ピコとの二重唱も、母との二重唱も心の中に入り込んでくる。第一幕から泣かされてしまった。

マコ母の早水小夜子は個人的には初見だったが、『夢醒め』のCDにも収録されている王道キャスティング。歌唱力とか演技力はもう圧倒的。苫田との掛け合いは絶妙。第二幕終盤の公園の場面では、会場のあちこちですすり泣きが。歌だけでなく、どこからどう見ても、苫田のリアル母親に見えてしまうというのも役作りとして見事。演技しているということを感じさせず、それでいて感動を与えられる。これって実はすごいことだと思う。

メソの藤原大輔は得意のダンスを披露する場面が少なくてちょっともったいない感じ。まあ、前回のエンジェルの役はもう十分に演じ切っただろうから、これが新境地ということかもしれない。独唱では相当力の入った歌いっぷりだったが、より存在感を示したのは、ヤクザ・暴走族・部長から袋叩きにあう場面。やっぱり彼はいじめられキャラなのか、ユタがお似合いなのかと思ったりした。

デビルの川原洋一郎。『クレイジー・フォー・ユー』のランクのコミカルな演技は良かったが、今回のデビルを見てもうちょっとオネエキャラのおかしさを醸し出してほしいと思った。もちろんどこを切っても無難なのだが、光枝デビルのような変態チックな暴走した歌が聴きたいというのはないものねだりかもしれない。

さて、道口瑞之。メソ→デビル→夢の配達人とまるで三段跳びで『夢醒め』を駆け抜けているが、配達人はどうか。歌、台詞回し、そして存在感は文句の付け所がない。道口独特のなんとも妖しい色気も加わって、実に魅力的な配達人。ただ、やはり若さを感じさせてしまうところがあり、もうちょっと枯れた道口配達人も見たいと思ってしまった。また何年か後に。

ラストのピコの歌も高音がしっかりと出ていて心が洗われるようだった。カーテンコールも何度も何度も続き、客電が付いてから拍手が止まず、最後はスタンディングオベーションだった。みんな感動している様子。カーテンコールの途中でピコが手を振りすぎて、降りてくる幕にぶつかっていたのもかわいかった。

結論。これはなかなかクセになるキャスティング。期間中、また観にいけるといいなと思う。