デフレ脱出?

モノがない。被災地にも、都内にも。食料品、燃料、日用品。毎晩投売りをしていたパン屋が、夜6時には棚がスカスカになるほど。背景にあるのは、個人消費者の「ハーディング(群れ)」だ。

定価の30%引きでも売れなかった日々からわずか一週間で様変わり。デフレの時代は終わったのか。このままインフレになるのか。

日銀は、震災直後、緊急対応として金融緩和を明確にした。だが、実際にインフレ傾向が確認されれば、引き締めを検討せざるを得なくなるかもしれない。

だが、いまのような「ハーディング(群れ)」による需要増に対して金融引き締めを行うべきではない。それは他の財・サービスのデフレを加速してしまうだろう。まず、政府は消費者の「不安」を払拭すべきだ。そして、買占めのような「利己的な行動」を戒めなくてはならない。ここまでは、日銀ではなく政府の役割だ。

政府の強いメッセージにより、個人の「ハーディング(群れ)」は、中長期的には弱体化する。金融政策は「ハーディング(群れ)」の影響を除いて、引き続き緩和を続けることが望ましい。全体的なデフレ傾向の脱出のために。

震災後の特殊な状況の下では、政府も日銀は行動経済学をも考慮した金融政策を行う必要がある。金融理論の教科書も書き換えられるかもしれない。これから日本で起きることを反映して。