父の遺言〜『グラン・トリノ』

クリント・イーストウッド強化月間始まる(僕の中で)。ということで、『グラン・トリノ』を観た。

映画『グラン・トリノ』オフィシャルサイト

 「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッド監督が、自ら主演して世の中に怒れるガンコ老人を演じた感動の人間ドラマ。急速に様変わりしていく世間を嘆き、孤独に生きる人種差別主義者の偏屈老人が、ひょんなことから隣人のアジア系移民家族と思いがけず交流を深めていくさまをユーモアを織り交ぜつつ綴る。長年勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト・コワルスキー。ある日、彼が大切にする庭で、隣に住むモン族の気弱な少年タオが不良少年グループに絡まれていた。彼らを追い払おうとして、結果的にタオを助けることになったコワルスキーは、これを機にタオの家族から何かとお節介を焼かれるハメになるが…。

以下ネタバレ。

主演・監督でこんな作品を作ってしまったら、彼が言いたいことは全部言い切ってしまったのではないか。しかも、自身で俳優としてはこの作品が最後だというし、このエンディングだし。幸いにして、監督としてのイーストウッドはこの後も傑作を生み続けているが、この作品は若い世代へのメッセージ、いわば「遺言」のようなものだと感じた。

骨太でありながらも押し付けがましくなく、静謐でありながらも退屈ではない。やはり、イーストウッドの作品には独特の美学が貫かれている。もっともっと観なくては。