僕らはいつか地球外生命体の痕跡を見るだろうか〜『星を継ぐもの』

ホーガンの『星を継ぐもの』を読んだ。以下多少ネタバレ。

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

これは高校生くらいのときに読んでおくべき本だと思った。良書。もう古典といってもいいと思う。「ハードSF」と形容されるから敬遠されてしまいがちであったが、「物的証拠→検証→仮説」という流れは、ミステリに通じた面白さもあるし、実際の科学者のロジックとも整合していると思う。そして、発見された「死体」や「宇宙船の残骸」などを調査した結果から導かれる事実は。実に衝撃的なものだ。

今年、小惑星探査機「はやぶさ」の回収したカプセルからは、地球外生命体の痕跡を確認できるようなものは残念ながら出てきそうもない。けれども、この本にあるような「可能性」を頭の片隅に置くだけで、僕らはもっと宇宙開発のニュースをエキサイティングなものとして見ることができるだろう。