「大人」になるということ〜シギサワカヤ『ファムファタル』

今朝の日経の14面に電撃の広告が掲載されていた。『禁書目録』と『俺妹』のコラボ。しかもコピーが「立ち上がれ日本経済」とか。やめてほしい。そっとしておいてほしい。

さて、こちらも電撃なんだが、電撃コミックスのシギサワカヤファムファタル』を読了した。何よりもこの人の絵柄が好き。白泉社「楽園」の表紙も雰囲気があって良いが、単行本の表紙はさらに輪をかけて艶っぽい。

ファムファタル 1―運命の女 (電撃コミックス)

ファムファタル 1―運命の女 (電撃コミックス)


ファムファタル 2―運命の女 (電撃コミックス)

ファムファタル 2―運命の女 (電撃コミックス)


ファムファタル 3―運命の女 (電撃コミックス)

ファムファタル 3―運命の女 (電撃コミックス)

内容を一言で言えば、理科系の大学サークルを中心とする恋愛モノ、となるんだろうが、『げんしけん』のようなオープンでさわやかな感じではなく、もっとリアルに情念が渦巻く世界。主人公のハイくんが恋愛感情を抱く海老沢由佳里が曲者だな、やはり。

ということで、まあ少女マンガなんだけれども、主人公が無垢なのが一服の清涼剤。…かと思いきや、彼も周囲の人間と深く関わっていくことでだんだんと「大人」になっていく。この辺読んでいて、昔の記憶を掘り起こされるようで痛い。

しかし、人はなりたくて「大人」になるのだろうか。でも、誰だって傷つきたくないし、傷つけたくない。そう思って行動するうちに、人は「大人」になるのだろう。望もうと望むまいと。ということで、「大人」になるというのは、ずるくなるということだ。「日経よく読む」ということではない。

それにしても、この作品を「電撃黒マ王」で連載していたというのがちょっと謎。誰得。いや、眼鏡理系女子ということで、キャラの造詣的にはオタク層にアピールすることは間違いないのだが。

これは「海老沢三姉妹」シリーズの一つということなので、次は他の姉妹の作品を読んでみようっと。