円城塔の『Self-Reference ENGINE』を読んだ。
Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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装丁の美しさに惹かれてハヤカワJコレクションを買ったのだが、今年ハヤカワ文庫になっている。値段はともかく解説が付いているので、文庫の方が良かったかもしれない。
内容的には、ボルヘスとか、スタニスワフ・レムのメタ言及的な作品。プロローグはこのように始まる。
全ての可能な文字列。全ての本はその中に含まれている。
しかしとても残念なことながら、あなたの望む本がその中に見つかるという保証は全くのところ全然存在しない。これがあなたの望んだ本です、という活字の並びは存在しうる。今こうして存在しているように。そして勿論、それはあなたの望んだ本ではない。
そう、これはボルヘスの「バベルの図書館」。いや、そのパロディかもしれない。オマージュかもしれない。そもそも「円城塔」という著者の名前自体が、バベルの図書館的だ。
そう、『Self-Reference ENGINE』というタイトルの通り、この作品自体が壮大な自己言及装置となっている。で、ボルヘスもレムも大好きな僕が読んで、果たして面白かったかというとちょっと微妙。文体はそれなりに洗練されているし、全体の構成も気が利いているが、見事なまでに内容がない。オマージュとかパロディの嵐。いや、それはそれで暇つぶしとしては楽しいのだが、どんどん先を読もうという推進力には乏しい。
読んでいて不快ではないし、知的刺激を受けるが、感動とは程遠いというべきか。いや、感動を与えるために書いているのではないと著者は言うかもしれないけれど。